ブラック校則撲滅 髪型や服装の自由化へ

  • 2022年12月9日
  • 2022年12月9日
  • 子育て
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”高校生らしさ”とはどういったことをさすのでしょうか。
非常にあいまいなこの表現。
ようやく規則が時代に追いつきそうです。

文部科学省は生徒指導に関するガイドブック「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂することを発表しました。
これにより、理不尽でよくわからない校則の一掃が期待されます。
ブラック校則と呼ばれるこれらがついに無くなるそうです。

今回は「生徒指導提要」の改定により今後校則にどのような影響を与えるのかを調査しました。

髪型は自由になるのか、服装はどうなのか。
実在の校則を見ながら確認していきましょう。

〇この記事を読んでわかること
・「学生指導提要」改定の理由とは
・ブラック校則とは
・「学生指導提要」改定の具体例
・校則が緩和されたことで懸念される問題

子供を守るための「生徒指導提要」へ

まずは今回改定される「生徒指導提要」について確認しましょう。
「生徒指導提要」とは文部科学省が平成22年に作成した、学校職員向けの指導マニュアルのようなものです。

生徒指導の実践に際し、教員間や学校間で教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等を、時代の変化に即して網羅的にまとめたものです(平成22年3月作成)。

参照元:文部科学省HPより https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008.htm

これをもとに学校側、職員は生徒への指導や学校内におけるルールづくり、校則づくりに一役かっているようです。
学校ごとの特色、学風などによる校則は千差万別なものの、国が作った基礎的な指導書であるため当然、どの学校でも基本原則として参考になっています。

さてこの「生徒指導提要」は作成されて以降、改定はされないため当時の時代背景に沿った内容となっています。
よって教育の環境変化に対応するためこの度改定することに至った、というのが今回の経緯です。

特に喫緊の対策としてあげられるのが自殺、いじめの増加です。
当時は児童における自殺者は年間約300人ほどでした。
しかし現在では500人に迫る勢いで増加しています(文部科学省調査より)。

児童の生活の中心となる学校生活は当然こうした事件において大きな影響を及ぼしています。
自殺を抑止するためにも生徒にとって学校内が居心地の良い空間である必要があります。

こうした理由により12年越しで改定へと至りました。

ブラック校則は学生のステレオタイプの押し付け

ブラック校則を聞いて何を浮かべましたか。

多くは生徒の服装といった格好。
行動を制限するものではないでしょうか。
例えば

  • 髪の色は黒
  • パーマ(天然も含め)、ツーブロック禁止
  • 髪のが一定程度の長さであればしばる
  • 靴下の色は黒か白
  • 下着は肌色など薄いもの
  • 登下校時の寄り道禁止
  • 男女交際の禁止

等々、細かな違いはあれば多くの学校ではどれかは当てはまるものばかりではないでしょうか。

学生自体ははこれらについて”校則だから禁止”とろくに理由も教えてもらえず理不尽な思いをした人が多いことでしょう。

また、理由を聞いても到底納得できないもの、これらがいわゆるブラック校則と呼ばれます。

髪の色や髪型が決まっているのは”高校生らしさを求めるため”。
下着の色は”派手すぎると服の上から透けた際に目立つため”。
これの理由は一見、納得できるものの反論する余地が多々あります。
”〇〇〇らしさ”といった表現はまさにその極地でしょう。
黒髪でなければ学生ではないのか。
生まれた時から髪色の色素が薄い子供はどうなのか。
この他、下着はそもそも他人に見られないことが前提であるため、服が透けること自体が問題なのではないか。
といった具合です。

校則を作った当時における社会情勢、時代背景として
”学生は品行方正、勤勉でなければならない”。
こういったイメージをもとにステレオタイプな昭和の学生イメージができあがったのかしれません。
しかし令和となった現在、このイメージ、”学生らしさ”に変化が出てきております。

時代や合理性に欠ける校則、かつて大人たちがイメージした学生の姿、これがブラック校則なのです。

学校内でも広がる多様化

さてこうしたブラック校則は「生徒指導提要」によって一掃されることが期待されます。

一方で「生徒指導提要」改定に先立ちすでに東京都内ではこうしたブラック校則の見直しが始まっていした。
2022年4月、東京都内の都立高校では次の5項目が校則より廃止となっています。

  1. 自宅謹慎
  2. 下着の色の指定
  3. ツーブロック禁止
  4. 黒髪の一律化
  5. 「高校生らしさ」などのあいまい表現での指導

上記にあげたブラック校則のまさに典型例です。
これらが既に見直された形となりました。
既に実例としてこれらがあがっているため「生徒指導提要」においても高い可能性で改定対象となることでしょう。

さて今回の改定ではこうした生徒にとっての身近な事例にとどまりません。
着目すべきは「こどもの権利」について明文化。
性的マイノリティーに関する項目が追加されることになります。
具体的には制服や体操着において学生が自認する性別のものを着用してもよい、といったものです。
つまり戸籍上とは異なる性別と学生自身が認識しているのであれば、それに合わせて服装を決めてよいことになりました。

多様性が叫ばれる昨今。
人と違う考え、価値観を許容する環境を用意すること。
そしてそれを受け入れる、認める心を持つこと。
学校生活の段階においてこうした心がはぐくまれることで社会に出てもそれを許容する人間となれることが期待されます。

ブラック校則に目がいきがちな今回の改定。
実はこうした他の項目も同じぐらい重要であることを認識する必要があります。

より責任が求められる時代へ

「生徒指導提要」改定は生徒にとっては喜ばしいことでしょう。
理不尽な校則から解放され、より自分らしく、自由になれることができます。

一方で注意すべき点もあります。
それは生徒の自制心や責任が重くなることです。

校則から解放されたからといって何でも自由にすべきではありません。
規則でなくても守らなければならないことも当然存在します。
こうした裁量についてある程度生徒にゆだねられることになった結果、問題が起こった際に誰が責任をとるか。
生徒の占めるウェイトはより重くなることでしょう。
自由になる権利にはそれに伴う義務、責任が生じます。

手放しに喜ぶだけではなく、キチンと学校生活に支障がない言動がより求められることでしょう。
それができないようであれば再び理不尽な校則を生み出すきっかけとなるかもしれません。

これを念頭に生徒は学生生活を送り、教師、保護者側はそれを見守ることは今後も必要です。

まとめ

今回の改定をきっかけに少しでも学校生活が楽しくなることを望む一方、生徒に求めらえる責任はより重くなることでしょう。

学校内における校則という存在は絶対的なものとです。
しかしだからといってそれは校則を決めた時点での絶対性であることを認識しなければなりません。
時が経ち、時代や環境に沿わない校則は今後も間違いなく発生することでしょう。

その時には、”校則”だからですませるのではなく、なぜ校則が必要だったのか。
そも真意を理解し、その上で校則の必要性を見直すことが肝要です。
生徒はもちろん教師、保護者3者に言えることです。

よりよい学生生活とするためにも今後も考えていかなければなりません。

〇まとめ
・「生徒指導提要」改定は現在の時代背景にそぐわないための対応
・ブラック校則は生徒の身なりを中心とした理不尽な校則が多い
・都内の高校ではブラック校則の是正が始まっている
・多様化する社会に関する規定が盛り込まれる
・校則が緩和された場合、より生徒の行動には責任がのしかかる
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