デジタル教科書の弊害 視力への影響は3割

2024年にもデジタル教科書の本格導入を目指す、政府。
そんな中当初より懸念されていた課題が徐々に顕在化しつつあります。

2021年度において、文部科学省が調査したデジタル教科書に関する実証実験の報告があがってきました。
気になる身体への影響や学習効果などはどうだったのでしょうか。
これからデジタル教科書を付き合っていく親御さんには是非知っておきたい内容となります。

実際の文部科学省の報告結果こちらとなります。
かなりの長文のため気になる点のみ今回抜粋して紹介します。

なおデジタル教科書の詳細については過去の別記事をご参照ください。

約3割の児童が目に疲れや、痛みをうったえる

今回の調査では小中学生65,000人を対象としています。
その結果、デジタル教科書を使用した後の感想として小学生では約3割、中学生に至っては約4割の児童が目に疲れや痛みを感じたとの回答がありました。
この他目以外にも肩や首、手といった身体においてもやはり疲れや痛みを感じる結果となっています。
その中でもやはり目に関する疲れ、痛みが高く、デジタル機器の弊害が早くも表れる形となりました。

目を保護するための対策は

こうした目の疲れや痛みの対策としては文部科学省は以下の点について注意するよう呼び掛けています。

  • 機器(タブレット)と目を30cm以上離す
  • 30分に1度は画面より目を離して、20秒間遠くの景色を見る
  • 就寝1時間前の機器の使用を控える
  • 学習以外で機器の利用を控える

といった内容です。
その多くは誰もが常識として知っている内容ばかりです。
しかし知ってはいてもなかなか実践できないというのが現状ではないでしょうか。
これは大人にも言えることですね。
勉強に集中するあまり連続して機器を使用することもあれば、夜遅くまで勉強することもあるでしょう。
これらを目を保護するためには上記の点について本人はもちろん、周囲の大人も注意、ケアしなければなりません。

それにしてもこれは本当に深刻な問題です。
せっかくの勉強する意識のある児童が学習環境によって満足に学習できないのはゆゆしき事態といえるでしょう。
目に優しい画面表示ができるよう機器の技術開発が望まれますが、それもすぐには難しいところです。
現実的にとれる対策として、引き続き紙教科書との並行使用し、それぞれの長所をうまく活用することが重要ではないでしょうか。
例えば音や動画など五感にうったえる教材についてはデジタル教科書が担当し、文字がメインの授業の場合は紙の教科書を使う、といったところです。
デジタル教科書は現状、紙の教科書との並行利用が必須となっています。
今後これをデジタル教科書へ一本化することが文部科学省としての目標ではないでしょうか。
しかしそうなった場合、現状の課題についてはクリアしなければなりません。
デジタルへの完全移行ではなく、それぞれの長所をうまく併用することこそ児童によって何よりも望ましい学習環境なのではないでしょうか。

学習効果は紙と同程度

身体への影響が懸念されるデジタル教科書ですが、肝心の学習結果はどうなのでしょうか。
紙の教科書と比べ、効率的な学習効果を得られるのであれば今後も上記の課題と向き合いながらも積極的に使用することが推奨されるでしょう。
今回のアンケートにおいては紙とほぼ同一の学習効果があったという結果となりました。
調査では小学生を対象に国語と算数の問題を難易度別に数字化しています。
その結果、デジタル教科書を利用した場合には3.6ポイントが紙の教科書を使用した場合には3.3ポイントの増加傾向があったようです。
ただしこの結果については同一の小学校で実施されたものの、対象人数が異なるため、完全に検証とは言えません。
現状のところは同等といった結果となりましたが今後のより精密な結果が待たれます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
スマートフォンをはじめなんでも紙からデジタルへ移行する昨今。
何でもデジタル化すればよいとは言えない点も見えてきました。
特に小中学生といった成長期の段階においてはより身体への影響が懸念されます。
これらが無事解消し、より学習効果が高い授業体制となることを祈るばかりです。

  • 3割に児童が目に疲労や痛みを感じている
  • 目に疲労、痛みについては大人と共にデジタル機器との付き合いを考える
  • 学習効果は紙とデジタル現状では同程度の効果
  • 引き続き精密な検証が必要
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