音楽教室、JASRACへの支払義務化 生徒たちへの影響は

  • 2022年10月28日
  • 2022年11月1日
  • お金
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5年にわたる長い抗争に決着がつきました。
最高裁は講師の演奏のみ、曲の使用料を支払う義務があるとの判決をくだしのたです。

これによって今後音楽教室はどうなってしまうのでしょうか。
特に音楽教室に通う生徒にとっても他人事ではないでしょう。
生徒たちへの影響や気になる使用料についても調べてみました。

また正直よくわからないJASRACという組織の実態にも合わせて確認しています。

講師は支払い義務がある一方で生徒は不要に

今回の最高裁の判決によって一旦に騒動に決着がつきました。

ことの発端はJASRAC音楽教室からも使用料を徴収する方針を打ち出したことに端を発します。
これに反対したのがヤマハ音楽振興会など、音楽教室の運営会社約240社です。
音楽会社が原告となり、使用料を支払う義務はないと裁判を起こしました。
そして結果は以下の通りです。

  • 一審→音楽教室側に支払い義務あり
  • 二審→生徒の演奏に限り支払い義務なし
  • 最高裁→講師は支払い義務あり、生徒は支払い義務なし

最高裁の判決は一審と二審を合算した形での判断となりました。
生徒側に支払い義務が生じない理由は演奏技術を向上した演奏である、という点です。
生徒は音楽教室側より指示された課題曲を演奏を通じて演奏技術を向上させています。
そしてこの課題曲は生徒が任意で演奏しているものであり、強制させれている状況ではありません。
さらに生徒側が音楽教室へ支払う受講料は演奏技術向上を目的とするものであり、演奏するために支払っているものではありません。
こうした理由により生徒側への支払い義務はなし、と結論づけられたのです。

一方で音楽教室、講師側についてはこうした事情には関係なく、使用料が発生することになります。
演奏を通じて受講料というお金を生徒から受け取っている以上、それは営利目的との判断がなされたのではないでしょうか。

使用料は受講料の2.5%?

さてでは気になるのが音楽教室側の支払い料です。
JASRACは当初、音楽教室から使用料を徴収する際の基準として年間受講料の2.5%を打ち出していました。
ただしこれは音楽教室、生徒どちらもが著作権料が認められた前提での話です。
そのため今回の判決では音楽教室側のみの使用料となるためこの支払い金額についても見直しが必要となります。
年間受講料という基準がそのまま適用されるのであればこの2.5%が下がる可能性が想定されます。
ちなみに年間受講料について、ヤマハ音楽教室を例にとなる最安値でも以下の通りです。
11,330円×12ヶ月=約13万円
これの2.5%だとすると約3,000円です。

たかが3,000円と思うかもしれませんがこれはあくまでの講師一人あたりの使用料となります。
講師の数だけこれが年間音楽教室の負担となってのしかかります。
これまで払う必要がなかったものを支払う必要となればその影響は計り知れません。

最も危惧すべきはこの負担額が生徒の受講料に上乗せされることです。
音楽教室側は支払わなければならないということはその財源元となる生徒からの受講料にも影響があるのではないでしょうか。

今回の判決結果を見る限り、最高裁側も音楽の発展を妨げる恐れがあることから生徒側への配慮がなされたことも否定できません。
しかしそれが巡り巡って結局は生徒側の負担、そして音楽業界への打撃とならないことを祈るばかりです。

とわれるJASRACの存在意義とは

さて、渦中のJASRACですが、その実態についてどれほど理解していますか。
音楽に関する著作権を管理する団体。

この一言に尽きます。
曲と作る側の場合、曲と作った際、日本国内において通常はこのJASRACに著作権の管理を委託します。
そしてこのJASRACに管理された曲を営利目的等、著作権に触れる使用を行う際、JASRACへ使用料を払わなければなりません。
これが今回の音楽教室に該当します。
この他、カラオケやイベント会場も使用料の支払い対象となります。
そして使用料がJASRAC、音楽を発売している会社、歌手などへ分配される、という流れになります。

このようにJASRACは曲の著作権を守り、権利使用の管理を一元的に行う役割があります。
しかし実は、必ずしもJASRACに委託することは義務ではありません。

これらの管理を自身で行うことができればJASRACに頼る必要はありません。

しかし現実的にはJASRACに頼らざるえない部分があります。
国内外に問わず誰がいつその曲を使用するかは管理することは大変労力が必要となります。
ノウハウがない素人が行うのであればなおさらでしょう。
この他著作権侵害が発生した際には裁判に関する手続きをJASRACが代行するなど、フォロー体制が万全となっております。
そのため現実的にはJASRACに委託するしかないというのが現状です。

なお一度JASRACに委託した場合、仮に自身が作った曲であってもその使用においてはJASRACへの申請が必要となるようです。
この点についてはなかなか釈然としないところでしょう。

このようにJASRACとは著作権を守り、その周辺の事務手続きを作成者に代わって行ってくれる重要な存在ともいえます。
これにより音楽の文化が守れている側面もあります。

他方、今回のように音楽教室への使用料徴収に乗り出すなど、音楽に携わる者にとって逆に業界の衰退させる可能性も否定できません。

そのため音楽業界にとってJASRACという存在が果たして必要な存在であるのか、それとも目の上のたんこぶとなるか、その動向が注目されます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
5年にわたる長い戦いが一旦は決着しました。
この判決は今後も同じように新たな使用料の徴収が発生した際の判例となることでしょう。
そういった意味では今後の音楽業界を左右しかねない大きな結果だったといます。

果たして音楽教室は使用料発生によってこれまで通りに存在することができるのか。
はたまた生徒側にもその一部を負担させることになるのか。
教室側の動きがきになるところです。

  • 最高裁の判決にて講師は支払い義務あり、生徒は支払い義務なしとなった
  • 使用料の基準については今後改められる可能性が高い
  • JASRACは今後もなくてはならない存在の一方、その在り方が問われる


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