”ホテルからくしやかみそりといったアメニティが消える”。
”アメニティが有料化となる”
SNS上ではそのような噂が流れています。
2022年4月より「プラスチック資源循環促進法」が施行されます。
これは脱プラスチック化を目指すための取り組みです。
これによってホテルにも影響が出る、というのが噂の発端となります。
今回はその真相について解説します。
結論から先に言います。
アメニティグッズは客室から消える可能性はあります。
有料化も義務ではありません。
では一体なにかどう変わるのでしょうか。
「プラスチック資源循環促進法」とは
そもそも「プラスチック資源循環促進法」とは何でしょうか。
「プラスチック資源循環促進法」は海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化の幅広い課題解決の取り組みです。
簡単に言ってしまえば環境汚染対策となります。
取り組む該当者はプラスチックを提供する事業者側が中心となります。
3R+Renewableを視点より下記のような目標を達成に向けて取り組むことになります。
リデュース→2030年までにワンウェイぷらすっちを蓄積25%排出抑制
リユース・リサイクル→2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル
Renewable→2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入
環境省「プラスチック資源循環戦略(概要)より一部抜粋」
3Rについてはリデュース、リユース、リサイクルと聞き覚えがあるかも多いのではないでしょうか。
それぞれ削減、再利用、使用後の資源に還元といった意味になります。
そこに加え新たにRenewableが登場します。
直訳すると”再生可能”です。
つまりは自然界に存在する原料をプラスチックとして使用するということです。
バイオマスプラスチックといえばトウモロコシやサトウキビなど植物由来の原料となります。
これを将来的に多く増やそうというのが目標の一つとなります。
この他引き続きプラスチックごみの削減、再利用にも取り組みましょうというものです。
そしてこれを該当する事業者ごとに、目標を立て、プラスチック使用の合理化を進めたり、体制の整備やら関係各所との連携を図っていく、とうものです。
特に重要となるのが「プラスチック使用の合理化」です。
プラスチックの削減や再利用、再生可能な資源に切り替えるためにどのように取り組むのかは事業者に一任されます。
そのため完全なプラスチックの使用廃止といった極端な対策や有料化による利用抑制などその取り組み方法はさまざまとなります。
細かな施策の内容について環境省のホームページをご確認ください。
対象のプラスチック商品は
では今回我々一般国民に影響のあるプラスチックとはどのようなものとなるのでしょうか。
事業社側が提供するプラスチックについては以下12品目となります。
- フォーク
- スプーン
- テーブルナイフ
- マドラー
- 飲料用ストロー
- ヘアブラシ
- くし
- かみそり
- シャワーキャップ
- ハブらしく
- 衣類用ハンガー
- 衣類用カバー
どれも身近なものばかりですね。
ではこれらはどこで提供されているのか、業種別にみてみましょう。
影響はホテル以外にも
- 項目1~5→スーパー、コンビニ(飲食品小売業)、ホテル(宿泊業)、レストラン(飲食店)
- 項目6~10→ホテル(宿泊業)
- 項目11,12→雑貨店(小売業)、クリーニング店(洗濯業)
上記のように3パターンに分かれます。
ただし、対象に事業者であるかどうか、前提条件があります。
「前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上」です。
5トン以下であれば上記業種であっても義務とはならないようです。
項目1~5の場合は主に飲食を伴う業種が対象です。
コンビニでお弁当を購入するに店員より「スプーンおつけしますか?」と聞かれるあれです。
ホテルやレストランでも使い捨てのプラスチックの食器を使用する店舗もあるため対象ですね。
注意点として持ち帰る専用の店やそもそも店舗が存在しない小売業も対象となります。
項目6~10は今回憶測を呼ぶことになったアメニティグッズです。
その多くは使い捨てであり、プラスチック用品となります。
項目11,12は衣類関連です。
ハンガーなどはクリーニングに出すと無料でついてきますよね。
ホテルはどう変わる
対象の商品、事業者についてははっきりしました。
ではこれによって消費者側はどのような影響が出るのか。
とあるホテルの場合
「アメニティの客室内での提供を廃止し、フロアカウンターにて客が任意に選択」方式となります。
つまりは必要なものを必要な数だけ必要な人に向けて提供するということです。
これによって例えばくしやかみそりを使用しない人に提供してきた分を削減することができます。
これは簡単かつ効果的な一例ではないでしょうか。
施設の工事や特別な用具など準備がほぼ不要です。
何より環境面への配慮だけではなく、ホテル側のメリットも存在します。
アメニティグッズの使用を抑えることでこの購入費が抑えられます。
また、これまで部屋ごとに補充していた作業が無くなり、業務負荷軽減に繋がります。
この他にも環境省に推奨する対応方法より以下のような取り組みが考えられます。
- アメニティグッズの有料化
- アメニティグッズ辞退者への宿泊費割引やポイント付与
- ホテル側により宿泊者へのアメニティグッズ必要有無の確認
- 繰り返し使える製品への以降
どのような取り組みを実行するかはホテル側の自由です。
それぞれの掲げた目標によって取り組み方法は異なります。
そのため今後アメニティグッズが有料化されることも十分にありえます。
これはホテルだけではなく、例えばコンビニでのスプーン提供時にも同じことが言えるでしょう。
レジ袋有料化に続き、食器類も有料化となる事態がもうすぐそばまで迫ってきてるのです。
消費者側はこうした事業者への取り組みに対して受け入れていかざるえないでしょう。
ただし、その取り組みが本当に効果的かどうかについては日々疑問を持ちながら必要であれば声をあげることも考えなければなりません。
消費者だからといって受け身の態度であっては抜本的な課題解決にはならないでしょう。
そのためにもまずは一人ひとりが当事者意識をもって環境問題について意識することが大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ホテルによって今後の対応は異なるため、宿泊する場合は事前にチェックする必要があります。
また今回の場合は上記に挙げた12品目が対象でしたが、今後拡大する恐れもあります。
ますます脱プラスチック化は加速することでしょう。
消費者としては環境面に配慮しつつ利便性やコストについて担保されることを願うばかりです。
- 2022年4月より「プラスチック資源循環促進法」が施行
- ホテル、コンビニといった事業者が対象
- プラスチックの削減、再利用、再生可能資源への切り替えが焦点
- ホテルのアメニティグッズについては有料化の可能性もあるが義務ではない
- 脱プラスチック化は今後も拡大する