ファミマ給与前払い制度を導入、前払いのメリット、デメリットを紹介

ファミリーマートは従業員スタッフへの給与支払いについて前払い制度の導入を発表しました。
給与の前払いについては一部企業にて近年導入されている制度です。
今回コンビニエンスストアでは初の試みとなります。

今回は前払い制度の仕組みと前払いについてのメリットデメリットをまとめてみました。
前払い制度を検討している企業、前払い制度を利用したい従業員の方は是非チェックしてください。

前払いと前借りの違い

従業員は通常、自身の労働力を対価に報酬として賃金を得ることが出来ます。
多くの企業では通常、前月の労働時間に対する賃金を翌月の規定の給与日に従業員へ支払うことでしょう。
しかし今回の前払い制度とはその給与日を待たずに一部給与を得ることができるのです。
ポイントは既に働いた労働に対する報酬を給与日を繰り上げて支払い、という点です。
これが前払いであり”前借り”とは異なる点に注意しなければなりません。

前払いに制度に関する法律は労働基準法に示されています。
そこでは従業員にとって給与が急ぎ必要な場合(病気や災害等)に限り前払いを認めています。
一方で前借りについては労働基準法に違反する恐れがあります。
前借りとは、まだ働いていない従業員に対して給与を支払うことをさします。
極端なことを言えば、働かずして給与がもられてしまうわけです。

今回ファミリーマートは従業員スタッフ(正社員、アルバイト問わず)より前払いの希望があればそれを実現するための制度、仕組みを導入したのでした。

人材確保、定着率向上を目指す

この度ファミリーマートが前払い制度を認めた背景は何だったのでしょうか。

昨今、労働力人口の減少に伴い、新たな人材の獲得と定着率向上が、店舗運営において重要な経営課題の1つとなっております。また、フリーランス・ギグワーカーといった多様な働き方が急速に広まりつつある中、「月に一度、給料日に賃金を受け取る」という給与サイクルが、必ずしもライフスタイルに適合しないという課題が顕在化しております。

ファミリーマートHPより引用 https://www.family.co.jp/company/news_releases/2022/20220722_02.html

昨今の多様な働き方に対する制度の見直しというのが理由です。
人によっては早めに給与が欲しい、という人もいることでしょう。
そうした場合にも柔軟に対応することで従業員スタッフの人材流出を防ぐというのが大きな目的です。
いわばこれも福利厚生の一環であり、働きやすい環境づくりを実現したことになります。

前払いのメリット、デメリット

ここからは前払いに関するメリット、デメリットを従業員、企業ごとに解説します。

〇従業員のメリット

  • 最短で給与を受け取れる
  • 利息が発生しない
  • 第三者に知られる心配がない
  • 審査不要

〇従業員のデメリット

  • 計画的に制度を利用しないと生活が破綻する

なんといっても最大のメリットはすぐに給与を受けれることです。
給与日まで生活が苦しい、という時や急ぎでお金が必要となった時に大変助かります。
急にお金が必要となった場合には消費者金融でお金を借りることが考えられますがこれにはさまざまなデメリットが存在します。
お金を借りていることを誰かに知れらてしまう、借りるのにも審査がかかる、利息が発生する。
前払い制度ではこうした点を全て解決してくれるのです。
一方のデメリットとしては唯一、使い過ぎに注意というところです。
これまで月単位で給与をもらっていたため、1ヶ月を基準として生活費のやりくりをしている人が大半でしょう。
この感覚が薄れてしまうため、ついついお金を使い過ぎでしまう、恐れがあります。
この点について注意すればとてもありがたい制度といえるでしょう。

〇企業のメリット

  • 福利厚生としてアピールできる

〇企業のデメリット

  • 手数料を負担する必要がある
  • システム、運用が複雑になる
  • 給与支払い分の資金を常に担保する必要がある

企業側のメリットはなんといっても福利厚生をアピールできることです。
これにより人材定着率がアップすること、この福利厚生を理由の人材募集が増えることが期待できます。
デメリットしては後述するシステムの手数料を企業側が負担しなければならないことです。
また、このシステムと通常の給与払いとの並行利用に伴う運用が複雑となり、総務担当、経理担当は業務負荷が懸念されます。
その他、いつでも給与の支払いができるように資金を常に確保する必要があります。
このため、給与前払い制度導入には自転車操業のような企業では実現が難しく、一定の資金を保つことができる企業でのみ実現可能といえます。

このように前払い制度とは従業員のメリットが最も大きい制度といえるではないでしょうか。
そのため今回ファミリーマートが制度を導入したことはそれほど従業員という人的資産を重要視したからともいえます。

前払いサービスを実現するためのかなめ『プリポケ』とは

前払い制度を導入するにあたり、ファミリーマートは『プリポケ』サービスを利用することになります。
『プリポケ』とはパソコン、スマートフォンなどで利用できる前払い申請用システムです。
伊藤忠商事の100%子会社が運営するため、信頼性は高いと言えます。
大手家電量販店をはじめ多くの企業が導入しています。

このシステムを利用することでスムーズに前払いが実現可能となります。
利用方法は至ってシンプルなようです。
システム上より従業員が前払い申請を行うと後日給与が指定の口座に振り込まれます。
この際、プリポケが支払いを立替えるパターンと導入企業の口座より引き落としを行うパターンが存在します。
この際、前者の場合には前払い申請した金額の1.5%が、後者の場合は固定月10,000円+1回200円の手数料が発生します。
この手数料は導入企業が負担することになり、これがフリポケの儲けとなる仕組みです。

フリポケの他、類似の給与前払いサービスとして『ジンジャー給与前払い』や『Payme』などが存在します。
手数料や初期費用、前払いの条件などが異なるため、導入企業に合致するサービスを検討する必要があります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
給与日という概念はすでに古いものかと思い知らされたのではないでしょうか。
今後さらに働き方が多様化するなかでこうした給与支払いに関する制度も大きく変わろうとしています。
従業員、企業どちらもが変化を求められる昨今。
両者共に変わってよかったと思える制度が今後も増えることを期待したいです。

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