【小説レビュー】『片田舎のおっさん、剣聖になる 〜ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件〜』

  • 2025年3月17日
  • 2025年3月30日
  • 小説
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今回紹介するのは
片田舎のおっさん、剣聖になる 〜ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件〜
です。

2025年4月からアニメ化も決定しており、今話題のなろう小説です。

気になる人は是非チェックしてください。

●こんな人におススメ
・なろう小説が好き
・ステータスやレベルといったわかりやすい数字の強さ設定は受け付けない
・主人公には無双して欲しいけど強者との熱い展開も欲しい
・ラブコメ要素は重視しない
・長すぎず、短すぎのストーリーがいい

概要

2025年3月現在、原作小説は8巻まで発売され、3月末には9巻が発刊予定です。
いわゆるなろう系の小説です。
剣と魔法の世界が舞台ではありますが、レベルとステータスといったゲーム的要素はありません。
主人公は剣士としては作中でも強者ではあるものの、最強という立ち位置ではなく俺つえー要素は低めです。
とはいえ、基本的にはある程度無双状態のためもやっとすることもなくそう快感があります。

あらすじ

タイトルの通り、田舎に住む40代のおっさんが主人公です。
実はものすごい剣の腕を持っているものの本人の自己評価が低く、細々と道場の師範を務めていました。
そこに大成したかつの弟子から騎士団指南役へのオファーが舞い込みます。
あれよあれよという間に大役を任されることになり、かつての弟子たちと共に強敵との戦いを繰り広げていきます。

指南役になって、毎度国や弟子たちからあらゆる依頼、厄介ごとに巻き込まれます。
当初は自己評価が低いおっさんでしたが、徐々の剣士としての矜持を持ち直し、高めていくことになります。

ここが面白い!

・おっさんが渋くてかっこいい
・剣での戦闘描写が緻密で熱い
・チートスキルや数字が存在しないため、キャラごとの強さはいい意味で分かりづらい
主人公はもちろん、それに比肩する強者が多く登場します。
短絡的に主人公が勝っておしまいではなく、その過程における熱い戦闘描写が魅力です。
ストーリーの構成についても大きな破綻もなく、しっかりと練られた内容となっています。
良くも悪くも頭を使う必要もなく、かといって短絡的な話でもないためリラックスして最後まで読み進めることができます。

ここが気になる

・1巻あたりの値段が高い
・剣での戦闘がメイン
・弟子からの依頼を引き受ける→大事件に発展のパターンが多い
小説しては少々高い1,430円。
ボリュームは問題ないため、1,000円前半台がありがたい。
8巻そろえる場合1万円少々かかる。
次に戦闘面について。
主人公は基本的に剣一本での戦闘となります。
この世界は魔法も存在しますが、主人公は使えません。
このため魔法をつかった派手な戦闘は他のキャラが中心となります。
剣での戦いを求める、というのであれば問題ありませんが、魔法やスキルがないため主人公だけの戦闘となるとバリエーション不足が見受けられます。
最後に、元弟子たちが多く存在しますが、なんでもかんでも弟子たちが事件に絡みまくっています。
それがこの小説の売りではあるのでそこは許容できます。
気になるのが元弟子たちが基本的には成功者のポジションであることです。
指導者として優秀だった主人公。
かつ弟子たちも才能があるため大成するのは当然でしょう。
しかしなかには大成することなく去っていった弟子もいるはずです。
こういった弟子たちの存在が現在のところ存在しないため、
新たな弟子が登場、即座に「先生すごい!」を周囲にアピールがパターン化しています。
大成しなかった弟子が登場し、敵対など別のパターンも欲しいところです。

まとめ

主人公がおっさんであるため、当初は枯れた印象をもち、なかなかやきもきする場面も存在します。
しかし話が進むたびに自身の境遇を受け入れ、弟子たちに負けないよう努力し続ける姿は読んでいて気持ちよくなります。
若者ではなく、おっさんだからこその悩みや苦悩も出てきます。
もしかすると読者によっては共感できるものではないでしょうか。

文体も癖がなく、非常に読みやくとがったところはありません。
「なろう小説」というジャンルを除外したとしてもいち小説として楽しめます。

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