【小説レビュー】『クロゥレン家の次男坊』

  • 2025年3月30日
  • 2025年3月30日
  • 小説
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今回紹介するのは

クロゥレン家の次男坊

『小説家になろう』からデビューした本作。
原作小説は2025年3月の時点で6巻まで発売しています。
残念ながら6巻での完結ですが、『小説家になろう』では引き続き連載しています。
このため商業的には実質的な打ち切りと言わざ得るえません。
まだまだ楽しめる余地があったため尻切れ感がぬぐえず惜しい作品です。

 

●こんな人におススメ
・なろう小説が好き
・主人公には無双して欲しいけど強者との熱い展開も欲しい
・ラブコメ要素は重視しない
・ストーリーが長すぎない

概要

いわゆるなろう小説の一つです。
転生者の主人公が剣と魔法の異世界にて身を立てていくストーリーです。
タイトルにある通りクロゥレン家という貴族の次男という立場が本作の主軸となります。

主人公は武術と魔術のどちらにも秀でているものの、長男は武術、長女は魔術に劣るため周囲からの評価は低い扱いです。
この世界では武術と魔術の能力が数値化されており、その数値によって武術第●位といった序列が存在します。
主人公はこの序列に加わることができないものの、武術魔術どちらの数値が高いことからこれらを組み合わせての戦闘力が高く強者と渡り合います。
また、装備などの道具を加工する能力にも長けており、器用貧乏ではおさまらない優秀な一面も見せます。

あらすじ

転生者の主人公は上位存在(神様的な存在)からの命令を受け、これを遂行するため旅に出ることになります。
しかしクロゥレン家と出立する際や出立以降の旅路においてさまざまな厄介ごとに巻き込まれるといった内容です。
最終的には腕力をもって解決しますが、基本的には敵が格上であるため常に辛勝です。

このため無双、おれつえーを求めている層にとっては刺さらない内容です。
戦闘においても剣ではなく鉈や棒術であるためかっこいいかと問われれば地味であったります。
スキルによって打たれ強い性質であるため攻撃をうけて分析、対応といった戦略となります。

ここが面白い!

主人公をはじめとした登場人物に全般について好感がもてます。
主人公は自身を過信することなく、凡才であることを自覚し戦闘においては常に創意工夫で立ち回っています。
優秀な兄、姉についても人格者であり、主人公が自分達にはない才覚を持っていることを認識し、彼の存在を認めています。

戦闘描写においては武術と魔術を組み合わせたスタイルであり、ごりおしでの戦いではなく戦いごとに最適なスタイルで戦略を立てており、
一辺倒なところはありません。
また、武術と魔術の数値化こそあれど数値だけでは勝敗が決しないためだれが強いかといった明確さが分からずワクワクする要素となっています。

ここが気になる

やはり残念なのが中途半端なところで完結する点です。
最終巻では上位存在から離反を決意し、相棒(ヒロイン)である精霊の登場などこれから話の転換となるタイミングだっただけに
非常に続きが気になります。
さいわい『小説家になろう』での連載は続けるとのことですが筆者としては書籍に体裁で読みたかったところです。

他に気になる点としては話の店舗がややゆっくりめであったことでしょうか。
丁寧な描写という面では評価できる一方でやや丁寧すぎるといった印象を受けました。
早く次の展開が見たいと思ってもまだこの内容が続くのか…といった点が散見しました。

この他、メインの話の合間に主人公以外の一人称での話が挟まります。
読み始めの当初「これは誰? 誰についての視点?」とややわかりづらく話を少し読み進めるまでは分かりづらい点がありました。

 

まとめ

ポテンシャルとしては高く、今後の展開次第では大きく化ける可能性を秘めていました。
このまま続けていればまた評価は変わった可能性があるだけに非常に残念でなりません。

とはいえなろう小説の場合再度商業化される可能性もあるためまだ期待できる余地もあります。
申し少し、巻数を重ねていればアニメ化、と同時に続編決定という流れも期待できましたが、こちらは難しそうですね。

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