今回紹介するのは
「狼は眠らない」
です。
・なろう小説が好き
・ステータスやレベルといったわかりやすい数字の強さ設定は受け付けない
・主人公には無双して欲しいけど強者との熱い展開も欲しい
・剣より魔法が好き
・ラブコメ要素は重視しない
・完結済で一気に読みたい
・ストーリーは長すぎず、短すぎないのがいい
概要
『小説家になろう』出身、原作小説は8巻まで発売され完結しています。
主人公の冒険者『レカン』が異世界にて迷宮を踏破するストーリーです。
元々は剣と魔法の世界で冒険者をしていた『レカン』が新たな世界で迷宮、ダンジョンをクリアしながら強敵たちと戦う熱い冒険譚。
異世界に移動するにあたり、チートスキルなどの付与はなく、元々備えていたスキルや戦闘技術を駆使しつつ新たな異世界で手に入れたスキルや魔法
を駆使する戦闘となります。
やっていることは異世界転生して無双しながらお姫様を助けつつ、偉人となるテンプレとなりますが、話の構成や設定などが練り込まれており
おれつえー感を出すことなく納得感のあるストーリーとなっています。
何より主人公が強くなること、迷宮を踏破することを第一に考えストイックに成長し、周囲と接する描写は読んでいて爽快感があります。
一言で言えばなろう小説というよりかは、古き良き剣と魔法のファンタジーといった印象です。
なお、8巻完結となっていますが、実は4巻時点で一度完結というなの打ち切りになっています。
このため5巻以降については電子版のみの配信のため注が必要です。
あらすじ
『レカン』が異世界に落ちたところからストーリーがはじまります。
『黒穴』とよばれる穴が突如として目の前に現れ、そこに飛び込んだ『レカン』。
穴に落ちる前の装備やスキルはそのままの状態で新たな世界でも迷宮攻略に挑みます。
ストーリーの当初、師匠の『シーラ』に薬学と回復魔法を教わります。
この作品においてこの『シーラ』と迷宮が話の中心となってきます。
この世界ではポーションの性能が低くまた、回復魔法についても重宝されています。
冒険者として活動する『レカン』にとっては傷を癒す手段は生存確率を高める手段であり、必須スキルとなります。
このためしばらくはこれらの修行を行いつつ、『シーラ』よりこの世界のことを教えてもらうことになります。
一方で自身が異世界からきたことを『シーラ』に伝え、異世界の技術やアイテムなどを提供するなど、師弟でありながら
対等な立場でもあります。
また、互いに目的にため敵対まだはいかないものの、信頼をしつつも信用はしていないという緊張感をもった関係性でもあります。
師匠ポジションのキャラクターはストーリーの序盤でお役御免となることが多いですがこの作品はそうではありません。
話の節目ふしめに登場しては時に『レカン』を助け、特に惑わす言動をとります。
読み始めた当初は『シーラ』が今作のラスボスではと危惧したほどですが、幸いにもそうではありませんでした。
次に迷宮について。
『レカン』が元いた世界と同様、こちらの世界でも迷宮が存在します。
冒険者である『レカン』は自身の存在意義が迷宮攻略にあること考えている節があり、ともかく迷宮にもぐることを好みます。
そして迷宮を攻略するためには強さが必要であり、強くなるためにも魔法やスキルの検証、修行に余念がありません。
迷宮を踏破することで名声あげ、それによってさまざまな厄介ごとに巻き込まれ、時には巻き込んでいきます。
最終的には綺麗に完結しています。
誰もが納得できるすっきりとした『レカン』らしい終わりでした。
ここまで読んでいてよかったと思わせるような爽快感の残るこれ以上ないエンディングです。
こちらは是非ご自身でお確かめください。
ここが面白い!
・シンプルなストーリー
・練られた設定
ストイックで強く、軟弱さがありません。
目的のためにひたすら強さを追求し、甘い言動がなく、”こいつなら安心できる”と思わせてくれるキャラです。
周囲もそれを理解し、『レカン』の友好的であり、性格が悪いキャラはほぼ登場しないため不快感がありません。
話もシンプルに迷宮踏破、であるため良くも悪くも頭を使う必要はありません。
一方でスキルや魔法、薬学に関する設定は凝っており、物語に説得力を持たせており、これがシンプルなストーリーながらも
厚みのある構成になっています。
ここが気になる
・万能すぎる魔法『浄化』
・捻った話、伏線がない
・女性キャラが少なめ
この作品はそういった意味では真逆の絵柄となっています。
ストーリーに沿った渋い、劇画たっちなイラストとなっています。
このため一定の層に対しては絵をみて一瞬ためらう、読むことへのハードルが高くなっている可能性があります。
ストーリーの内容では上記で触れたようにシンプルな内容が利点の一方で、捻った話や伏線を張っての大どんでん返しのような驚きはありません。
また、魔法には『浄化』がありますがこちらは『レカン』をはじめとした『レカン』の関係者しか使用できません。
傷や病気をほどデメリットなしで連発できるため、パーティーに2人以上使い手がいれば全滅するがなく、緊張感が少なくなります。
困ったら『浄化』を発動し、体制を立て直す。
重症でも関係なし。
このため少々万能すぎた印象を持ちました。
なかには終盤まで読んで『こいつヒロインだったのか』というキャラもいます。
最終的には『レカン』と結ばれますが、恋愛描写がほぼなく”いつこんな関係になった?”という印象も持ちました。
まとめ
人を選ぶ作品かもしれません。
他方、はまる人は大好きになることでしょう。
いつものなろう小説に飽食気味なら是非一度手に取ってみてください!