今回紹介するのは
「煤(すす)まみれの騎士」
です。
・追放系なろうが好き
・転生ものはNG
・剣での戦闘が好き
・既刊数が10巻以下がいい
概要
『小説家になろう』出身、原作小説は2025年4月時点において7巻まで発売しています。
ライトノベルのメジャーレーベルである電撃文庫。
この別レーベルである『電撃の新文芸』より刊行されています。
流石に歴史と実績のある”電撃”を冠したレーベルであるため、なろう小説であっても文体がしっかりしており、小説としての読み越えたは保証されています。
知恵と武勇どちらにも優れた神童『ロルフ』。
彼はこの政界では誰もが授かる魔力を得ることができず、地位や婚約者を失い、人々から放逐されることになります。
いわゆる追放系のなろうです。
主人公『ロルフ』は転生者ではなく元々の世界で真っ当に生まれです。
しかしこの世界では誰もが持つ魔力を得ることが出来ず、追放される目に。
そこから元の婚約者や自身を捨てた国や軍などに復讐をすること…、などではなく、自身の努力不足に嘆き、
多くの人を傷つけたことに嘆くのでした。
おおよその追放系であればこのあと復讐心をかてに強くなり、追放者たちへ見返すことでカタルシスを得るというのがテンプレートではないでしょうか。
この小説ではそのようなことにはならず、自身を責め、夢である騎士になるべく邁進する『ロルフ』。
復讐とはまた違った意味でのスカッとする展開が見どころでしょう。
復讐心に問われることなく人間性として完成された『ロルフ』の潔さは読んでいてすがすがしい気持ちになることでしょう。
そんな『ロルフ』にはさらなる困難が待ち受けており、やがて国や種族間を巻き込む中心となっていく。
『ロルフ』は夢であった騎士となるべく、まさに煤にまみれながら泥臭く戦い、努力する。
あらすじ
追放された『ロルフ』はある時、煤まみれの剣と出会います。
魔力を持たない人間のみが使えるこの剣は『ロルフ』が使うことで魔法を切り、数々の困難を切り開くきっかけとなります。
『ロルフ』自身もまたこれまでの努力により磨かれた剣技と知略を駆使して戦うため、剣の性能一辺倒ではなく、
『ロルフ』が煤の剣を使うからこそ強くなる、という表現がぴったりでしょう。
他方、剣がなければ魔法への耐性については弱いため、明確な弱点も存在し、戦闘における緊張感を持たせてくれます。
『ロルフ』はこの後、彼の信頼すると仲間得ることになります。
その中には人間の敵である魔族も存在し、これにより迫害から排除の対象へとかわるのでした。
他方、強力な戦力となってしまった『ロルフ』一行。
『ロルフ』たちと和解を望む勢力と反対する陣営に分かれる人間側。
果たして『ロルフ』が望む選択はどうなるか…。
ここが面白い!
・剣だけではない『ロルフ』の魅力。
・『ロルフ』をめぐる人間内での政略争い
とくになろう小説では顕著であり、いかに読者に好感を抱かせるかが重要です。
このイメージにピッタリです。
弱気を助け強気をくじく。
自身の危険を顧みることなく人助けをよしとする。
慢心せずに努力を怠らない。
そういった意味では『ロルフ』ま正道、真逆に正確といってよいでしょう。
このため、物足りないと思う人がいる一方で癖のない主人公であるため万人に受け入れられることでしょう。
このため無双するシーンが多くない一方で読んでいて飽きない戦闘描写となっています。
そうして力をつけた『ロルフ』の力を周囲を次第に気づきはじめます。
そして最新刊では彼を擁護する場とそうでない派閥で分かれ、大きな争いに発展していくのでした。
ここが気になる
・復讐劇のようなすっきり感はない
このため魔法に対する耐性が低く、ちょっとした低位の魔法に対しても大ダメージになります。
これを補うための煤の剣ですが、これがなければまともな戦闘が行えません。
頭脳を駆使して、敵をほんろうするなどその場限りの対応は可能なものの、直接の戦闘では非力になってしまいます。
逆に煤の剣があればほぼ敵なし状態でもあるため、煤の剣のあるなしによって戦闘描写が大きく変わる点があります。
結果的に復讐することにはなりますが『ざまーみろ!』といったようなすっきりとした復讐劇にはありません。
これがこの作品のいいところである一方でこうしたすっきり感を求めている層にはうけが悪いと感じました。
まとめ
文章、構成がしっかりしており、主人公にも好感が持てる。
追放系ではあるものの、復讐心を持たずに困難につきすすむすっきりとしたストーリー。
王道的な主人公の活躍を観たいというかたへ『煤まみれの騎士』をおススメします!