公園を守れ 子供の騒音トラブルを起こさないためには

子供の騒音によって公園が廃止される。

長野県長野市青木島町大塚のとある「青木島遊園地」は子供の声がうるさい、という近所からのクレームよって廃止となります。

同じようなトラブルは日本全国の公園でも発生しています。
これをかわぎりに今後このような公園廃止は増えると予想されます

そこで今回のケースを分析し、子供の貴重な遊び場である公園を少しでも存続されるべく、何ができるかを調査しました。

原因は何だったのか。
廃止に至るまでに何か対策はできなかったのか。

未来の子供たちのためにもなくてはならない公園を残すべく、一人ひとりが考えてきましょう。
今回の記事はそうしたきっかけの一助となれば幸いです。

約20年間のクレームによる蓄積

 

さてまずは今回の廃止が決定した公園「青木島遊園地」についてケースをまとめてみました。

今回廃止に至った原因は公園の近隣住民からの約20年にわたるクレームによりものでした。

公園の近くには保育園や児童センターなど子供が集まる施設が隣接しています。
そのため当公園は開設当初より子供たちの人気の遊び場となっていました。
近隣住民からのクレームを受けた市は当初、騒音対策を講じたものの、原因解決に至らず廃止に決断となりました。

ここでの対策とは園内にツツジを植えることでの防音対策。
公園の出入り口を変更するなど労力をかけた対策が取られていたことが分かります。
しかしクレームは収まることなく、今日までの約20年間続く事態となりました。
結果、自治会や児童センターが市に公園廃止を申し入れたことにより、廃止が決定した、というのが経緯です。

どちらも完全に間違っていないからこその問題

今回のケースについて廃止に至るまでもプロセスをみればそれもやむなしといえる印象をいだきます。

長年騒音が解消されず、近隣住民からすればたまったものではありません。
市の対策も効果がなく、長年耐えかねていた住民からすれば、当然の結果といえるでしょう。

他方「たかが子供の声」とこれら住民へを批難する声もあるのも事実です。
子供の声というのは案外馬鹿にできません。
実際に当事者となればその気持ちもわからないこともないでしょう。

とはいえ、子供は遊ぶごとが仕事。
公園で健全に遊ぶことは否定されるべきではありません。
公園で遊ぶ年齢の子供であれば周辺へ配慮する、のは難しいものです。
また公園とはそもそも子供たちが遊ぶためのための施設。
声を出すなというのが無理でしょう。

このように双方どちらにとっても主張されるべき意見は存在します。

それだけに問題解決に落としどころは困難です。
そのため今回のように公園を廃止する、という判断はやや一方的すぎるという印象をいだきます。

地域住民との関係性の変化が原因

子供が公園で遊ぶ光景は、今にはじまったことではありません。
にもかかわらずこうした子供騒音トラブルは年々、顕在化しつつあります。
そしてこれは今後も日本国内において増えていくことが予想されます。

その理由として

  • ご近所との疎遠化
  • 少子高齢化

があげられる。

なんといっても公園利用する子供たちとその親。
そして公園の近隣に住む、住民。
双方が普段より関係性が希薄だったことが今回のトラブルの最大の要因かもしれません。
少しでも顔見知りでいればちょっとしたトラブルなど笑って済ませることができます。
子供がしでかしたことであればなおさらでしょう。
それができないというのであれば、それほど重大なトラブルなのか、そこまでの関係性でなかったのかかが考えられます。
今回のケースで言えば期間こそ長いものの、目に見える範囲で大事ではなかったような印象です。
そのためやはり関係性、というのが一つの焦点となります。

次に、少子高齢化。
子供を育てる親が少なくなり、逆にその世代を過ぎた人が増えたことも要因ではないでしょうか。
子育て経験にある人ならば、騒音トラブルについてはよく理解しているはずです。
自身にも身に覚えがあるため、他の人が同じようなことをしてもある程度許容することができるでしょう。
しかし昨今の未婚率、子供のいない家庭が増加したことでそれを望むことできなくなりました。
また、社会全体で高齢化が進んだことで、例えば労働の一線を退いた世代が増えました。
そのため家にいる人が単純に増えた、という考えができます。
また、”仕事を引退してゆっくり過ごしたい”という人のとって騒音は無視できないトラブルです。
さらに高齢化に伴い、感情の起伏が制御できない人もいることから過剰なトラブルに発展してしまうことも考えられます。

以上2点において共通するのが人としての生活の在り方がかつての日本とは変化していることです。
自治体といった地域内の所属、グループへの参加の減少。
お隣さんの名前すら知らないが当たり前。
そして子供を持たない家庭の増加。
イコール、親同士でのコミュニティの喪失。

こうして地域内でのコミュニケーションが減少し、ちょっとしたトラブルでも大きなトラブルになりやすくなった。
今回のケースではこうした背景があったのではないでしょうか。

騒音トラブルを避けるには

ここまでで公園が廃止する背景については理解できたのではないでしょうか。
ではこれを踏まえたうえでどうすれば今回のトラブルが発生しなかったのか。
より正確には”公園が廃止とならずにすむにはどうすればよかったのか
を考えてみましょう。

騒音トラブル回避するには以下の2方向から対策を立てる必要があります。

  1. 騒音が最小限となるよう、ハード的な対策をとる
  2. 関係者同士がコミュニケーションをとり、ソフト面での対策をとる

①騒音が最小限となるよう、ハード的な対策をとる

騒音は物理的な手段をもって対処することで、最小限にとどめることが可能です。
今回の「青木島遊園地」でも取られていたようにツツジといった植物を植えることで音を遮断する方法です。
植物であれば公園の景観上もむしろ推奨されるため、予算があれば実施することの理にかなっています。

ただしあくまでも公園外へ音漏れを最小限にするだけであるため、完全防音することは困難です。
そのため人によってはやはり”騒音”と認識されてしまう場合もあります。
そもそも今回のケースにおいて実施したにも関わらずクレームが無くならなかったことからも完全な対策とはいえません。

しかし効果は全くないということもありません。
またこうして目に見える対策を行うことの効果は音を遮断するだけにとどまりません。

こうした大掛かりな対策を行うことで公園側(市役所)側が近隣住民からのクレームを真摯に受け止め、対策を行っている。
ということをアピールできる狙いがあります

予算をかけて大規模な工事をやれば、住民としては”自分達の意見が聞き届けられた”
とある程度納得し、留飲を下げることにも繋がります。

クレームのなかには”ただ文句を言ってすっきりしたい”という人種もいないと限りません。
こうした人たちに対しては行動で示すことが効果的です。

もっとも真剣に騒音問題をどうにかしてほしい、という方の方が圧倒的でしょう。
しかしそうした人たちであっても同じように少しは心が動かされる効果があるはずです。

もちろん、どれだけアピールしても効果が伴わなければ意味がありません。
ハードでの対策はもちろん重要ですが、それだけ対策の手を止めてはいけません。

対策を打った効果を検証すると共に、別の面での対策、第2、第3の矢を用意することが重要です。

②関係者同士がコミュニケーションをとり、ソフト面での対策をとる

根本原因である、”公園では静かに遊ばせる”
これを徹底できれば完璧です。
しかしこれはどのような対策をとっても100%不可能といえるでしょう。

なぜなら子供が公園を利用する目的は遊びにあります。
遊びである以上声を上げて楽しく過ごすことになるのは当然です。
事前に保護者がどのように注意、警告しようともこれを遵守出来る子供はいないでしょう。
仮にできたとしても公園をはじめて利用する子供や保護者の場合にはこれを守ることはできません。
まさか園内の看板に”近隣住民からのクレームがあるため静かに過ごしましょう”
などと警告することもできません。
そもそも”静かに”という定義も人によりあいまいです。
音に過敏な人であれば2人以上で会話しているだけでも十分に”騒音”ととらえられる可能性があります。

以上の理由によりそもそもこのケースでの対策は非常に困難です。

そこで行うべきは関係者同士での話し合い、コミュニケーションです。
今回のケースで言えば、市役所、近隣住民、児童センター、そして公園を利用する子供の保護者です。

今回、公園を利用する子供保護者の存在が皆無、という印象を受けました。

保護者以外の3者によって一方的に廃止となったような印象を受けます。
公園が廃止となると利用する子供たち、ひいてはその保護者が困ることは間違いありません。
しかしこのニュースのなかではこうした公園廃止に立ち向かう存在が見えません。
同じようにニュースを通じてはじめて公園が利用できなくなったことをしった保護者の方が多いのではないでしょうか。

つまり公園を利用する子供も保護者達は、こうした騒音トラブルが発生していることについて日頃から認識していなかった可能性があります。
または気づいていてはいたものの、そこまでの喫緊性を認識しておらず他人事のようにとらえていた可能性です。

結果、近隣住民と保護者間での重要性、温度差により公園廃止に繋がったことも否定できません。

最も保護者側の人間は近隣住民とは異なり、”誰が”という部分があいまいです。
初めて公園を利用する子供いれば、常連の子供います。
そしてその中には声の大きい子供、小さい子供が混在しており、誰が今回の原因を作ったのかが不明瞭です。
そのため保護者達、子供達からすればまさか自分が騒音の元となっている、という自覚がないのも仕方がない部分もあります。

そこでキーとなる存在が児童センターです。
こちらの施設利用者が公園を利用することは容易に想像できます。
センター側は騒音問題が発生していることを周知することで、保護者達にことの重大性を認識できることが可能でした。
そうした意味ではセンター側の対応が甘かった、ということも否定できません。
もちろん、それは保護者側でも同じでしょう。
公共施設を使用する以上、迷惑をかけないよう利用するのが原則です。
仮に公園であっても近隣地域に迷惑をかけないような行動を最低限心にとめることはできます。

さて話を戻しますと、重要なのはコミュニケーションです。
今回保護者側の存在が他3者とのコミュニケーションがとれなかったのは間違いありません。
それも仕方がないことは上記の通りです。

その上で今後公園を廃止させないよう行動しなければなりません。

そのためには公園管理者、即ち市役所や児童センターといった第3者による双方の調整です。
近隣住民からクレームがあがればそれを公園利用者に周知する。
公園利用者による言い分を聞いたうえでこれを近隣住民へ説明する。
双方の主張を通じて、対策、妥協点を探ることが肝要です。

今回のケースでは一方的な主張だけが通った、という印象がぬぐえません。
最終的に公園廃止となろうともそこに至る過程としては、こうした双方での考え、主張を見極めて決断すべきです。

そのためにもクレームが発生した際にいち早く関係者と情報共有できる、環境は普段から整えておくべきでしょう。
それには普段から行政と市民との繋がり、コミュニケーションが重要です。
これによりいち早く、迅速に問題対処を全員で考えていけるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。

一筋縄でいかない今回の問題。
果たして何が悪かったのか。
誰が悪かったのか。
廃止に至るまでに何か出来ることはなかったのか。
疑問が尽きることはありません。
私たちにできることは今後こうした理由によって公園がなくならないよう努力することです。
仮にクレームを入れる立場であっても元々は公園の廃止は望んでいなかったはずです。
それがやむ負えないのが今回のケースであった。

子供達の将来のためにも少しでも公園を残すことができるよう、気を付けなければなりません。

〇まとめ
・長期期間のクレームが蓄積した結果、公園廃止となった
・昨今の人々の暮らし、ライフスタイルによりクレームが発生しやすい環境となった
・騒音トラブルへのハード対策は必須だが、完全ではない
・合わせてソフト面での対策として関係者によるコミュニケーションが重要
・公園を存続させるためにも誰もが当事者意識を持つこと
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