ランドセルは義務ではない? 重いランドセルは不要なのか

  • 2022年6月22日
  • 2022年6月22日
  • 社会
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小学生が発明した「さんぽセル」が今大ヒットしている。
重いランドセルの持ち運びを少しでも軽減しようと開発されたこの商品は現役小学生のアイデアによって誕生しました。
小学生が発明したことで連日各メディアで取り上げらえている一方、別の問題でも話題をよんでいます。
かつてランドセルを背負ってきた大人たちからの批判である。
批判の理由は主に「軟弱、楽をするな」「手がふさがることによる危険性の増加」である。
今回はこうした大人たちの言い分が事実であるかを調査しています。

調査の結果、そもそもランドセルの利用の利用は義務化されていないという衝撃の事実も判明しました。
ではなぜ誰もがランドセルを使用するのか。
こちらについてもまとめました。

昨今のランドセル事情

「さんぽセル」を利用する最大の理由は身体への軽減負担です。
ランドセルの重さから身体を守るため、という至って正当な理由と思われます。
しかし批判する大人たちからするそれが軟弱にうつるようです。
小学生時代のことを振り返り、自分はそんな弱音をはかなかった、と言いたのでしょう。
ではこうした大人たち、かつてのランドセル事情はどういったものだったのでしょうか。
ランドセルの転換期は直近において2度ありました。
2000年代と2010年代です。
2000年代にはこれまで黒と赤の2色だった配色から様々なバリエーションカラーのランドセルが台頭しました。
この時における変化はおもに見た目、デザイン性にとどまっています。
しかし2010年代にはいると今度は機能性に改良が加えらえたのです。
主に軽量化、大型化、背負いやすさにが向上しました。
特にこれまで平均1.5kgだったものが商品によっては1kgを切るまでに軽量化されたのです。
これは500mlペットボトル1本の削減、三分の一という大きな進歩と言えるでしょう。
しかしあまりにも軽量化に重点をおくあまり耐久性に問題が生じる可能性があることから現在では1.2kg前後が主流になっています。
次に大型化については教科書にサイズが変更されたことでランドセルもそれに合わせた形となります。
かつてはB5サイズが主流だったものの現在ではA4サイズの教科書が採用されることとなったため、大型化されました。
そして背負いやすさについては各メーカーがしのぎを削るようにさまざまな工夫をこらすようになりました。
ランドセルに重量があっても背負えばそれを感じづらいようにフィット感や素材を考えればよい、ということです。
こうして現在のランドセルはかつてと比べた場合、大型化されつつも軽量化されかつ重量を感じづらいものとなっています。

なぜランドセルが重くなっているのか

上記の通りかつてのランドセルと比べ今のランドセルのほうが軽くて背負いやすいことがわかりました。
ではなぜ今回のようなランドセルの重さに苦しむ小学生が多いののでしょうか。
それはランドセルの中身にあります。
特に元凶となっているのが教科書とタブレットです。
教科書については学習指導要領に関係において年々分厚さを増しています。
当然重量もアップしています。
ゆとり教育とよばれていた2000年代では1.3kgだった教科書が現在ではその倍以上に重量になっている、ということも珍しくありません。
これが4教科分だと単純に5kg以上の重量アップとなります。
ここにタブレットの重量約500gが増えるとどうでしょうか。
これで5.5kgに重量アップです。
お米袋を丸々背負っていると考えればそのつらさは理解できるのではないでしょうか。

これならば大人たちが軟弱者と批判するのはフェアではありません。
そもそも同じ条件の重量ではないのですから。
また「さんぽセル」によって片手がふさがることによる危険性についても、そもそもそれ以前の話といえます。
これだけの重量であるならば手がふさがることによる緊急時の対応よりも、重量による転倒のリスクの方が高いといえるでしょう。

このため今回「さんぽセル」を発明した小学生たちの行動には十分理になかったものだったと言えるのではないでしょうか。

そもそも重量を軽減できない大人たちを頼るより、自分たちでなんとかしようとした行動は褒められることはあれど批判されることではないでしょう。

ランドセルの携帯は義務化されていない

現在の小学生の大変さが理解できたことで、次に我々大人がすべきことは何でしょうか。
まずはそもそもなぜランドセルを利用しなければならいないのかを調査しました。

結果、文部科学省によるとランドセルの携帯義務はないことが判明しました。
一部小学校によってはランドセルの指定を行う場合もありますが、国や自治体などからのランドセルを強制する決まり事、法律は存在しないのです。
通学用のバックについてはどんなものでもよいとされています。
事実ランドセルを購入したもののランドセルが破損して使えなくなった場合や、高学年になりサイズが合わなくなった場合には代替のバックを利用することも珍しくありません。

それでもランドセルを利用する理由は

では義務でもないのになぜランドセルをこぞって購入するのでしょうか。
その最大の理由としては下記2点があげられます。

  1. 保護者がそもそも義務化されていると勘違いしていた
  2. 安全性、耐久性に優れているから

なんといっても小学校の通学カバン=ランドセルと考える人が圧倒的多数という事実です。
子供両親はもちろん、祖父祖母にはその傾向がより強いといえるでしょう。
ランドセルといえば入学祝いに祖父祖母からプレゼントされることは少なくありません。
そして祖父祖母からすればランドセルは小学生に必須なものと信じて疑いません。
かつて自分たちがそうであったのだから間違いない、という部分が大きいのではないでしょうか。
こうした自分たちの当たり前だったことを現代の子供に当てはまているという点が要因でしょう。
他のバックを選択肢にいれず盲目的、慣習的に根付いている文化といえるでしょう。

2点目はなんといってもランドセルの機能性があげられます。
ランドセルは重いです。
しかし重いからこその頑丈さと安全性を秘めています。
子供が多少の無茶な扱いをしても6年間使うことができる点はバッグ選びおいて大きなポイントでしょう。
また、転倒時にはランドセルがクッションとなることでケガを最小限にとどめてくれる働きがあります。
さらに子供が利用することを前提に作られるため身体に負担がかかりづらい素材、設計となっていることも忘れてはなりません。
こうした利点を見ると重量や高価格であることを除けば利用するに値するりっぱな商品といえるのではないでしょうか。

この他第3の理由としてあげられるのがランドセル以外を利用した場合に”ういてしまう”という危険性です。
皆一緒に回れ右が好きな日本人によって他と違う行動、物を利用するにあたり抵抗があります。
特に周囲の目があるため、なかなか行動することが難しいです。
特に小学生であれば、周囲と違うだけで奇異な目を向けられ、極端な話いじめにも繋がる危険性もはらんでいます。
この空気が無くならないことには脱ランドセル化は難しいと言えるでしょう。

重いランドセルへの対処方法

ではこの問題に対してどのような対処をすればよいのでしょうか。
ずばりランドセルの中身の重量を減らすことです。
何を当たり前なことを言っているのだ。
それができないからこそこうした問題が出ているのではないかと思う人もいることでしょう。
しかし案外とこれは難しいことではありません。
重量の減らしかたとしては、そもそも持っていく物を減らすか、物を軽量化する2つのアプローチが存在します。
前者の場合有効なのが”置き勉”です。
誰しもが経験があるのではないでしょうか。
学校に教科書をおいておけばよいのです。
もちろんその日の宿題や予習が必要な教科書は当然持ち帰らなければなりません。
一方でその日授業で使用したもののすぐに家に持ち帰る必要ない教科についてはそのまま学校においていってしまえばよいのです。
かつての小学生だった方からすると置き勉は先生から禁止といいつけられていたのではないでしょうか。
そもそも置き勉など、勉強しない生徒のレッテルをはられる恐れもありました。
しかし現在においては文部科学省が直接ではないにしろ置き勉について可とするともとれる案内を出しています。

各学校においては、このような重要性を踏まえつつ、教科書やその他教材等のうち、何を児童生徒に持ち帰らせるか、また、何を学校に置くこととするかについて、保護者等とも連携し、児童生徒の発達段階や学習上の必要性、通学上の負担等の学校や地域の実態を考慮して判断いただいていると考えておりますが、別紙の工夫例を参考とされるなど、児童生徒の携行品の重さや量について改めて御検討の上、必要に応じ適切な配慮を講じていただきますようお願いします

文部科学省「児童生徒の携行品に係る配慮について」事務連絡より抜粋

※詳細はこちらを文部科学省HPを参照ください

このように文部科学省においても昨今のランドセルの重さ問題について課題となっていることを認識しています。
平成30年の段階でこの事務連絡は各学校関係者間に共有されていたのです。

生徒や保護者が学校側に積極的に現状についてうったえることで置き勉というのは意外と簡単に実現するのです。

次に持ち物の軽量化については同じく教科書が対象となります。
昨今では紙の教科書だけではなく、タブレットを使ったデジタル教科書についても利用されています。
現在の取り決めにおいてはデジタル教科書の一本化利用というのは不可とされ、あくまでも紙との併用となります。
そこでぜひ実現化したいのが、タブレット端末に必要な教科書や資料といったデータをpdfファイルとして保存する、という方法です。
これに家に持ち帰る際に必要な情報は全てタブレットに集約できます。
結果紙の教科書についてはあくまでも授業でのみ使用し、持ち帰る必要がありません。
自宅での学習ではこのタブレットを使用し行うのです。
結果、複数の紙の教科書、資料がタブレット1つに軽量化されるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
ランドセル問題については引き続き課題としてしばらくは存在することでしょう。
一方でそれを解決するための手段については今回提案したようにいくつもの解決策が存在します。
今回現役の小学生がこうした自分たちの手で解決策を模索し、実現させるというのはその答えの一つかもしれません。
しかし一方でこれで解決というわけでもありません。
依然、ランドセルが重いことには違いありません。
あくまでも対処療法にすぎないのです。
小学生たちが今回のように今後も積極的に問題解決を図ることはもちろん望ましいことです。
そして大人たちはそれに負けないように新たな対処方法について実現していかねければならないでしょう。
子供たちがこれらの問題を気にすることなく勉学に集中すべき環境を整えることこそ大人としての義務といえるでしょう。

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