2022年1月11日、消防士がYouTuber活動を行った件についてのニュースが流れました。
消防士といえば立派な公務員。そして公務員といえば副業禁止です!
それではなぜ公務員が副業禁止となっているのか。
そして気になる消防士の正体と現在の活動についてまとめてみました。
- ニュースの概要
- なぜ副業がバレたのか
- なぜ公務員は副業NGなのか
- 消防士への処分は?
- 気になる消防士の正体とは
- 副業に対する考えた方
今回の概要簡単に説明します。
消防士は和歌山市北消防署に勤務する33歳の男性です。
消防署での階級は消防士長となります。下から3番目の階級です。一般的な会社でいうところの主任といったところでしょうか。平社員以上、係長未満あたりのため、この年齢であれば順当な階級かもしれません。
少なくとも部下を持つ立場の人間であるならばこうした不祥事(ここではあえて不祥事と表現します)は避けて欲しいところですね。
さてこの消防士長ですが動画投稿サイト「YouTube」にて動画投稿を行い、それによって利益を得たことが今回の件に繋がりました。気になる利益は約100万円ほど。2020年12月頃より動画投稿を開始しており、2022年1月現在まで300本を越える動画を投稿しているようです。動画の総再生数は200万越え、チャンネル登録者数は2万に届くかどうかといったところです。動画内容はゲームをプレイしながらトークを行う、いわゆる”ゲーム実況”とよばれる分野です。副業として始めた素人であればまずまずの実績ではないでしょうか。約1年で100万を稼ぐことを考えると十分な利益といえますね。
ではなぜ今回、この副業がバレたのでしょうか。
それは匿名の通報でした。通報者の情報については当然ですが一切開示されていません。同僚なのか、動画視聴者なのか。いずれにしても消防士の立場とYoutube投稿、どちらも認識していなければ分からないことです。
ゲーム実況では投稿者の顔出しをする必要がなく、声についても加工することが可能なため、自ら素性を明かさない限り、身元がバレることはありません。またこの消防士長と目される人物についてはtwitter活動を行っていることが分かっており、そこでも身元を明かす発言はないように思われます。
消防士長自身、副業している意識がある様子のため身元が分からないよう徹底していたはずです。
そうなると考えられるのはやはり身近な人が怪しいのではないでしょうか。
ついうっかり仲の良い同僚の話してしまった。または普段の様子より何かしたらを察したのでしょうか。睡眠時間を削り、動画投稿する時間を捻出した結果、勤務態度に出てしまった等(消防士であれば不規則な勤務体系となるためなおさらですね)。
同僚からの通報であればその理由は「正義感」、「業務への支障を懸念」、「嫉妬」といったところでしょうか。
禁止されているのだからやってはいけないとう正義感。
他の仕事をすることにより人を守る仕事である本業が疎かになることを懸念した。
お金をたくさんもらえて羨ましい、というやっかみ。
いろいろ考えられますね。
ちなみに消防士長の年収は400~500万円ほどのようです。これは地域によっても異なるようです。
消防士は危険と隣り合わせの業務であるため様々な手当てがつきます。そのため、民間企業と比べても
年収は多い傾向にあります。消防士の平均年収としては600万後半から700万前半であるため、圧倒的でしょう。
しかし消防士長の立場からするとまだこの平均未満といったところ。よって民間以上の給与であったとしても
職場を見るとそれ以上にもらっている人が多い、というのが実情ではないでしょうか。
ますますお金絡みの嫉妬という線が濃厚ですね。
公務員が副業禁止なのは周知の事実です。ではなぜ禁止なのでしょうか。
それは地方公務員法38条・国家公務員法104条にて禁止と明記されているからです。
ちなみにこの大本の考えは憲法にも記載があるようです。
その理由を要約すると
①本業の支障が出る
②本業における秘密保持
③公務員としての面目を保つ
とのこと。
公務員、特に消防士といった直接人の命を左右する業務であればこれらについては納得せざるえないでしょう。特に①については国民からすると死活問題となりますね。給与が民間と比べて高いのもこうした理由からであり、「給与が高いから副業する必要ないよね」という意味合いなのかもしれません。
民間企業においては大企業をはじめ、副業解禁の動きがある一方。公務員の副業解禁はまだまさ先になりそうですね。上記のような理由については納得できる、一方でこれらを担保できるようであれば副業OKでもよそうさなものですが。
公務員の副業について寛容な方もいる一方、やはり本業に支障でることを恐れる方も一定数いますね。
このあたりが今後副業解禁に焦点となるでしょう。
では公務員が仮に副業を行った場合どのような処分が下るのでしょうか。
上から処分が重い順となります。
免職→懲戒免職、いわゆるクビです。公務員は通常クビに出来ないのですがこうした不祥事によう免職は唯一の例外ですね
停職→一定期間、職務に従事させないこと。当然この間の給与は発生しません。
減給→給与が減額となります。
戒告→口頭での注意にとどまります。一見処分が軽いようですが、出世には響きそうですね。
今回の消防士長の場合は下から2つ目の減給10分の1(1ヶ月)とのこと。仮に月30万の給与であれば3万円減
ですね。これなら副業で得た利益の方が大きいように見えます。しかし実際にはお金に変えられない信用を周囲の人間から失ったのではないでしょうか。
では件の消防士長の正体は判明しているのでしょうか。実はすでにネット界隈でも特定されていたのです。テレビニュースにて該当するYouTuberのチャンネル画面が公開されました。こちらは画像にぼかしが入っているのですが、その特徴的なチャンネル画像から該当するチャンネルが特定されたのです。
筆者の実際に該当するチャンネルを覗いたところチャンネル名は「足湯」となっていました。
報道された情報通り
・投稿されている動画はゲーム実況動画中心
・チャンネル登録者数は1万
・初回の動画投稿が2020年12月
・動画総再生数は200万以上
・投稿された動画数は300以上
とほぼ一致していることが分かりました。
動画を視聴してみると顔出しはしていないものの声については地声であることが分かりました。近しい人間ならもしかすると聞き覚えがあるのかもしれませんね。
ゲーム実況動画を投稿するだけあり、よく通るいわゆるイケボ(イケメンボイス)といっても良いのではないでしょうか。トークもうまく、動画内には自身が描いたと思われるイラストも随所に見られました。
このように消防士という職業からは想像できないクリエイティブな才能をもっているようです。
なお、動画投稿当初は趣味の範囲でやっていたようですが、その後人気が出たため収益化に切り替えたようです。
趣味を貫き続けていればと思うと残念でなりませんね。
さてこの「足湯」さんですが、2022年1月14日現在、直近において動画投稿された様子はありません。最後の動画投稿は2021年11月4日となっております。動画を投稿する頻度は不規則であるものの、それでも1ヶ月以上、間をあけることはない様子です。このことからも職場に動画投稿がバレ、以後更新できていないことがうかがえます。
Twitterにおいても11月前半を最後に更新が止まっていることからもしかするとこのあたりにて副業バレがあったのかもしれませんね。
今回の件について人々はどのように思ったでしょうか。
民間企業では副業解禁が叫ばれる昨今、公務員だけが副業禁止なのも時代にそぐわないのではないでしょうか。
一方で公務員という人の生活、命に関わる特に重要な仕事であることから、他の仕事にかまけるなどもってのほか、という考えもあるでしょう。それゆえに厚遇であることも否めず、国民からすると公務員の副業には反感を持つ人もいるのも確かです。
ネット上の意見は様々です。
・ルールを破ったのであれば当然処罰されるべきだが、処分が厳しすぎる
・YouTubeの場合、趣味と副業の境目があいまいである
・YouTubeでここまで稼げるは単純にすごい、努力したのではないか
・本業に支障がなければ副業もありでは?
・副業の定義があいまい、収入を得るというのであればフリマアプリも該当してしまう
・表現の自由の侵害であり、時代と法律があっていない
などなど。
どちらかといえば、本業に支障なければいいんじゃない?
という消防士長に味方する意見が多いようですね。
確かにYouTubeという趣味と実益があいまいな仕事というのはなかなかその境目の判断が難しいところです。
YouTuberが職業として認知されている以上、昨今、利益が発生しているのであれば確かに業務という側面が大きいのではないでしょうか。これがひと昔前であれば趣味の延長で利益が出た、と言い張れるのかもしれません。
なにはともあれ決まり事、ましてや法律上での規定がある以上、それを遵守することは大前提でしょう。
もしその法律が現代に働き方に沿わないようであればそれは柔軟に変化させていく必要があります。
民間企業と違い、公務員の場合はなかなかこうした決まり事を変更させるのはより困難なことでしょう。
それでも国が、政府がより生産性の高い働き方を求めている現在、公務員であろうといろいろな働き方が模索されるべきなのではないでしょうか。特にこうした公的機関が先陣を切って副業解禁に踏み切ることで民間企業もそれに続きやすくなるのではないのではないでしょうか。
今回の件については規則違反であったことは事実です。しかし例えば事前に上司に相談する、収益化を解除するなど問題となる前に対策できた可能性もあります。しかし相談することが藪蛇となる場合もあるため、なかなか悩ましいところですね。
こうした悩みが少ない、もっとオープンに副業できる日が来ることを望むばかりです。
また、今回の件でこの消防士長についてはクリエイティブ活動を諦めず別の形で再出発してくれることを望むばかりです。