3月に入り、いよいよ来月には新生活を始める学生、社会人が多いのではないでしょうか。
そんな方にうってつけの記事を紹介します。
今回は”住むところ”について複数回に分けて紹介する予定です。
筆者はこれまで下宿、寮、賃貸マンション、賃貸平屋、戸建てに住んだ経験があります。
この経験を交えながらそれぞれの特徴を紹介します。
誰がどこに住むのがベストなのか筆者なりの考えをまとめています。
今回は「下宿」についてまとめてみました。
特に下宿生活を考えている学生諸君には是非最後までご覧ください。
そもそも下宿とは
一般的に”下宿”といえば「借主がお金を貸主に支払い、部屋を借り、食事の提供を受けるサービス」をさします。
これに加え、風呂の準備や洗濯など炊事を貸主が代行して行うこともあります。
通常の1人暮らしと異なり、こうした生活に欠かせない業務の一部を代行できる、というのが大きな違いでしょう。
借主のおおよそは学生、新社会人が対象です。
学生の場合は学業に集中するため。
新社会人の場合は慣れない社会人生活を補助するためのサービスとして利用されることが多いです。
特徴の一つとして、下宿内での独自ルールが存在することがあげられます。
生活の一部を借主と貸主が共有するためこれを円滑させるための規則が必要となります。
例えば”門限”はその一つです。
特に学生用の下宿に見られる傾向があります。
また、貸主だけではなく、借主間でのルールも存在します。
部屋は1人用であるが、ダイニングや風呂、トイレといった部分は他の借主と共有するためこうしたトラブルを避けるためにも厳格なルールが存在します。
風呂や洗濯機の利用時間など多義にわたります。
このように下宿とは「一部の生活を他人と共有しながら疑似的な一人暮らしを行う」と筆者は定義しています。
寮との違い
下宿と寮の違いは何でしょうか。
寮の詳細については下記記事をご覧ください。
寮についても同じく部屋を借り、食事や風呂といった家事を代行する寮母さんが存在します。
このように生活スタイルこそ違いはありません。
下宿という大枠のなかの一つに寮というサービス体系が存在している、といった位置づけではないでしょうか。
相違点があるとすればサービスの提供元と、その目的となります。
下宿の場合は貸主側が不特定多数を対象にサービスを提供します。
一方寮については企業、学校といった特定の組織の属する人員のみが利用できるサービス(または福利厚生)です。
また前者の目的は営利的な要素が大きいことに対し、後者の場合はよりサービスという意味合いが大きいでしょう。
学生寮の場合、学生が学業や部活に専念できる環境を用意することで入学希望者へのアピールとなります。
企業の寮の場合も類似した理由となります。
さらに住宅手当といった福利厚生の様子も備えています。
また、企業と寮が物理的に近いことで業務対応を効率的に行うことができるという企業も思惑もあります。
このように下宿の場合は営利的な要素が強いことに対し、寮の場合は借主に対してのサービス、生活補助という側面が強く存在意義が異なると言えます。
下宿のメリット
ここからは筆者が実際に学生の時に4年間過ごした体験をもとにメリット、デメリットをまとめています。
筆者の下宿生活を簡単に説明します。
住民の大半は近隣の大学生で、社会人はごく少数でした。
下宿の定義にもれず、風呂、トイレ共通の朝、夕食事つきの1人部屋です。
部屋は6畳の和室に押し入れがあるだけの簡素な部屋でした。
特徴は貸主のおばちゃんの食事が美味しかったことです。
これは今でも覚えています。
ではまずはメリットについて以下の通りです。
<メリット>
- 勉強や仕事といった本業に専念できる
- 他大学、社会人の知り合いができる
- 規則正しい生活をおくることができる
- 緊急時の助けとなる
- 寂しいと感じることがない
1.勉強や仕事といった本業に専念できる
下宿の大きな魅力の一つ。
それが家事のサポートです。
親元を離れ一人暮らしする際の壁となるのが家事です。
特に食事についてはコンビニの乱用、偏食となる傾向があります。
下宿であればバランスの良い食事がきっちり作れています。
勉強や仕事に忙しい学生、新社会人にとっては大いに助けられることでしょう。
これらの家事を代行できるのは下宿ならではの大きな特徴です。
筆者も大いに助けられました。
コンビニ、外食はお金がかかるうえ、途中で飽きてきます。
おふくろの味が恋しくなることもありましたね。
そうした時に大変ありがたい存在でした。
また、朝食を食べるために朝寝坊せずに学校に通うことができたのも大きなメリットでした。
2.他大学、社会人の知り合いができる
寮であれば同じ学校、同じ企業内の人しか利用できません。
しかし下宿であればその縛りはありません。
筆者の下宿には近隣大学2校の学生が住んでいました。
本来出会う可能性の少ない別の大学に通う大学生と仲良くなれる貴重な機会でした。
仲良くできる友人ができればそれこそ天国です。
筆者も毎晩夜遅くまで一緒に友人たちとゲームをしたものです。
日付が変わろうと関係ありません。
眠くなれば10秒以内に自分の部屋に戻ることができるのですから。
あの時間は何物にも代えることができない貴重で大切な経験でした。
3.規則正しい生活をおくることができる
家事をする必要がないため、時間に余裕が出来ます。
そのため夜更かしする必要も少なくなります。
また1.でも少し触れましたが、3食の食事が決まった時間に出るため、それに合わせた1日のスケジュールを組み立てる必要があります。
結果、規則正しい生活の出来上がりです。
4.緊急時の助けとなる
病気で寝込んだ場合など自身が満足に動けない場合は管理人や他の住人が異変を察知し、すぐに助けてくれます。
筆者は幸い、在学中健康でいられました。
しかしこのご時世どんなことがあるか分かりません。
誰かに助けられたり、あるいは助けたりする機会はこれまで以上に多くなることでしょう。
そうした場合の助け合いのコミュニティとして下宿というグループは最適なのかもしれません。
5.寂しいと感じることがない
一人暮らしの休日ともなると誰ともしゃべらない日も珍しくありません。
特にこのご時世なかなか外出するにも難儀します。
しかし下宿していれば必ず誰かとは顔を合わせ、会話が発声します。
寂しいクリスマスといったイベントの際であっても他の住民と楽しく過ごすことができます。
下宿のデメリット
ではデメリットはどうでしょうか。
<デメリット>
- 家賃が高い
- 1人でいる時間が少ない
- 食事、風呂の時間制限がある
1.家賃が高い
部屋代に加え、食事代を含んだ賃料が発生します。
ただし、コンビニや外食が中心の食事を比べた場合には圧倒的にお得と言えるでしょう。
また、ガス、水道、電気といったライフラインの費用については賃料に含まれない場合もあります。
こう考えると家賃に目が行きがちですが、生活に必要な費用は断然安く抑えることができます。
筆者の場合、月あたりの賃料は6,5000円に個別で電気代(1000円前後)が上乗せされていました。
近隣の賃料相場が5万円前後と考えると、格安だったと言えるでしょう。
もっとも、賃料は生活費のなかの最も大きな割合を占めています。
これをいかに安く押させることができるかによって生活の質が変わってくるのではないでしょうか。
人によってはより安い賃料でかつ節制した食事を行うことで生活費を押させることができます。
こうした生活費の節約を積極的に行うことが出来ないという意味ではデメリットといえるでしょう。
2.1人でいる時間が少ない
下宿において最も気になる点。
プライベートの時間、空間を確保できるか、という点です。
せっかく親元を離れ、独りのびのびと生活したいと考えている人には少々厳しい環境かもしれません。
プライベートな空間は部屋だけです。
それ以外の空間は基本的には共有となります。
また、その部屋にしたところで、他の住民と仲良くなれば頻繁に人が出入りするようになります。
これが苦にならない、という人であれば下宿は最高の環境と言ってもよいでしょう。
3.食事、風呂の時間制限がある
共同生活であるため、食事や風呂といった時間には時間の制約がついてまわります。
これらを遵守することで規則正しい生活を送ることができる一方煩わしく感じることもあります。
特に学生であればアルバイトやサークル。
社会人であれば残業。
これらによって帰宅時間は遅くなります。
そうなると夕食を食べ損ねる、風呂に入れないという事態になります。
筆者の場合もこの点に大変苦労させられました。
お金がないため、食事、風呂は必ず下宿先で済ませたい。
しかしアルバイトしてお金も稼ぎたいというジレンマです。
妥協点として、夏休みなど長期休暇に限定してアルバイトをすることにしました。
長期休暇中は下宿先自体が休みの場合もあります(部屋は使えるが食事や風呂が用意されない)。
この間を利用して、普段できないことをしていました。
結果この時間の使い方は有効だったといえるでしょう。
普段アルバイトする必要がないため単位を落とすことなく学業に専念することができました。
一方で眠気と戦い朝食を食べに行ったり、学友と夜遅くまで外出できないなど欲望との戦いがずっと続きました。
そのため食事や風呂の時間について融通が利く下宿先があればそれに越したことはないでしょう。
下宿をおススメしたい人
メリット、デメリットを鑑み、下宿生活すべき人を以下の通りです。
- 独りでいるより大勢の人といる時間を楽しめる人
- 変わった経験をしたい人
- 家事に時間を取られたくない人
- 欲望に負けず、規則正しく生活したい人
- 一人暮らしのハードルが高いと感じる人
下宿生活とはなんといっても他人と生活を共にできるか。
この1点に限ります。
これを許容することができれば後のデメリットについては些末なことではないでしょうか。
家事の労力を最小限にしつつもある程度の一人暮らしを満喫できる、というのはある意味理想的な環境でしょう。
また、下宿生活は人生においてなかなかできない貴重な体験です。
下宿するにあたり「学生に限る」といった通常の一人暮らしとは異なる入居制限が存在します。
体験できる機会は限られているという点からも、変わった経験をしたい人にもおススメですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
下宿生活における良い点、悪い点が見えてきたことで自身にあう、あわないがわかったことかと思います。
といいつつも何はともあれ、まずは一度住んでみるのもアリです。
嫌なら退去すればよい話です。
筆者の場合も入居当初は、いやいやだったと記憶しています。
念願の一人暮らしに他人との共同生活などたまってものではありません。
しかし完全な一人暮らしについては両親が納得せず、しぶしぶ入居したのです。
しかし住んでみればすぐにその気持ちは変わりました。
見知らぬ土地での一人暮らしなど心細いことこの上ありません。
入学する大学にも知り合いはいません。
そんななか、入学前に友人と呼べる存在ができたことはその後の生活の大きな支えとなりました。
今でもその友人とは交流があり、一生の友を得ることができました。
結局4年間を過ごし、退去日当日は涙したものです。
叶うならあの生活を友人たちともう一度したいと今でも思います。
この記事を読んで少しでも多くの人が下宿生活に興味を持ってもらえたら幸いです。