受験シーズン真っただ中の現在。
未だに聞きなれない『大学共通テスト(以下、共通テスト)』(旧大学入試センター試験)は2022年の試験をもって2回目を迎えました。
そんななか、世間を騒がすニュースが飛び込んできました。
「テスト問題が外部に流出している!」
カンニングが発覚することは毎年のお決まりとなっています。
しかし今回はいつと毛色が異なるようです。
その後すぐに犯人が自首し、その驚愕の手口が明らかになるのでした。
事件発覚後より1ヶ月が経とうとする現在、事件の全貌が明らかとなってきました。
この記事では気になる犯人像と来年以降のテストへの影響についてまとめました。
来年以降に共通テストを控えている受験生の方は是非最後までチェックしてください。
なお、この記事を読んでカンニングを踏みとどまってくれる受験生がいたら幸いです。
事件の概要
まず今回の事件について簡単にまとめます。
騒動は大学入学共通テスト1日目「世界史B」の試験問題が外部に流出したに端を発します。
通話アプリ「スイカプ」を通じて、試験問題が東京大学の男子学生(複数)に送られたのです。
不審に思った男子学生が通報したことで事件が発覚しました。
流出原因や理由が分からないまま、テストから12日後を迎えた後、進展を迎えるのでした。
なんと犯人と名乗る女子大学生が警察署に出頭してきたのです。
これにて事件が解決!、なればよかったのですが、そうもいきません。
これだけ世間を騒がせたため、その影響度は大きいことでしょう。
たかが試験問題の流出といえど犯罪行為に該当する可能性が出てきたのです。
用意周到な犯行
次に今回の手口について解説します。
くだんの女子大学生は今回の事件について計画的だったようです。
2021年12月より準備が行われていました。
女子大学生はとある家庭教師紹介サイトを通じて今回問題を受け取った男子学生たちと知り合いました。
そして彼らにたいして”家庭教師のとしての能力を試したい”としょうして、試験当日に「スカイプ」を通じて問題を送り、回答を求めたのでした。
大胆不敵とはこのことでしょう。
試験当日中に試験問題をスマートフォンのカメラ機能で撮影し、それを送信。
それに加え、メッセージのやり取りを何度か行っていました。
試験中、そのような操作をする余裕があるのか、と疑いたくなりますね。
なおこちらについては現在警察にて再現検証を行っているようです。
さらに驚くべきは東大生を言葉巧みに操り、回答を得られたことです。
それも複数同時にです。
該当する男子大学生は4人いたようです。
しかし完全に騙された男子学生がいる一方で、不審に思った男子大学生もいました。
結果、通報したことで事件が発覚したのです。
犯人の素顔は…19歳の女子大学生
では気になる犯人像は、なんと19歳の漢代の大学に通う女子大生とのこと。
女子大生?
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
当然ですが、大学入学共通テストは国公立(または一部私立)大学のいわば一次試験。
大学合格を目指すために受験します。
すでに大学生であるこの方がなぜ、受験したのか。
それは東京都内にある某私立大学へ入学するためのようでした。
そう、彼女は”仮面浪人”だったのです。
仮面浪人とは別に大学に在籍しながら他の大学入学を目指す学生のことです。
在学中の学友たちに見つかった場合バツが悪いため、表向き受験を隠していることから仮面浪人と呼ぶようです。
19歳ということであれば昨年大学受験を行い、無事現役合格。
しかし第一志望の大学のは入学できなかった。
または入学したものの自分の希望に沿わないキャンパスライフだった。
こうした理由による再度受験することになったものと思われます。
しかしいざ勉強を始めるも、とても志望校に合格することが難しいと考え、今回計画を企てたのでしょう。
用意周到に事情を知らぬ第三者を利用するなど大変計画的でした。
これほど大胆かつ、事前準備に手間がかかるカンニング方法は今後現れないでしょう。
この行動力を勉学に向けることができればまた違った結果となったかもしれないだけに残念です。
そしてこの前段未聞の騒動により連日ニュースでは大々的に取り上げられました。
結果この女子大学生が想定していないほどの大騒動へと発展したのです。
これに怖くなった女子大生は母親のことの経緯を告白。
母親に連れられながら香山県の警察署に出頭しました。
彼女の実家が高知県であり、地元だと周囲の目が気になるためわざわざ香山県へ出頭したとのこと。
幸い未成年であるため実名は公表されませんが、地元ではおそらくバレているのではないでしょうか…。
今回の罪は『偽計業務妨害罪』に該当する?
無事、犯人が判明し、動機、手口についても明るみになりました。
ここで気になるのが今回の罪状です。
通常のカンニングであれば警察の出る幕はありません。
基本的にはカンニングがバレた時点で試験会場より退出。
及び全ての試験において採点されない、というのが通例ではないでしょうか。
来年以降の受験資格を失う、というほど大きな処罰を受けたという話は聞いたことがありません。
よってバレた場合、その年の受験は諦めるだけですむかもしれません
(それでも大事ですが)。
しかし今回の場合はこれまで異なります。
カンニング行為は毎年の恒例行事のごとく、発覚します。
しかしそのどれもが自身で完結するものでした。
ここ数年ではスマートフォンを使用したカンニング横行していましたね。
今回もスマートフォンを使用していますが、外部の第三者を使ったのは今回が初のケースです。
ちなみにカンニング行為とは不正な手段を用いて問題を解く、意外にも該当する場合があります。
それは複数の監督官が不正であると認定した場合です。
面白いのが2020年の共通テストの際、マスクを正しく着用していないという理由で不正行為(カンニング)と判断されたケースがあります。
本人にはカンニングの意図はなくともルールに従わなければイコールカンニングとなってしまうようです。
今回は罪に問われるとすれば以下の点が問題となるのではないでしょうか。
- 家庭教師紹介サイトを間接的に悪用した
- 善意に第三者を利用した
- テスト問題を外部にリアルタイムで流出させた
- 世間への影響度が大きかった
順番にみていきましょう。
1.家庭教師紹介サイトを間接的に悪用した
こちらのサイトは当然ですが、生徒が家庭教師を探すためのサイトです。
つまりはある種のマッチング、仲介の役割が大きなポイントです。
しかしこの意図に反した利用をしたことによって、サイトへの信用度が落ちてしまう可能性が考えられます。
2.善意に第三者(東京大学の男子学生)を利用した
家庭教師として雇う、というエサを使って第三者を悪意ある行為の片棒を担がせる行為は大変罪深いのではないでしょうか。
3.テスト問題を外部にリアルタイムで流出させた
他の受験生からの不平不満が抽出することでしょう。
また、次回以降のカンニング防止策を新たに作成するための労力が発生することにもなります。
4.世間への影響度が大きかった
1~3が過去例を見ないこともあり、世間が大きく注目しました。
共通テストを運営する組織(大学入試センター)の信頼が揺らいだこと。
下手に大きな話題となったため、警察側もそれに配慮した対応が必要となったこと。
これらを勘案し、考えらえる罪状は
偽計業務妨害罪
ではないでしょうか。
※筆者なりの見解であり、素人による判断です
偽計業務妨害罪とは簡単に言ってしまえば、人をだましたりうそをつくことで業務を妨害する行為です。
今回の被害者は家庭教師紹介サイト運営会社、男子学生、大学入試センターでしょう。
これを裏付けるものとして、大学入試センターが既に警視庁に偽計業務妨害容疑て被害届を提出しています。
警視庁がこれを受理していることから、立件される可能性はありえるのではないでしょうか。
ちなみに立件された場合、三年以下の懲役または50万円以下の罰金となるようです。
たかがカンニング、されどカンニング。
未来ある若者に罪以上の罰が与えられないことを祈るばかりです。
特に今回、最終的には自ら出頭してきたことは評価に値すべきものと思います。
せめてこのあたりで酌量の余地があるとよいですね。
来年以降のテストへの影響は?
最後に来年以降の共通テストへの影響を予想してみましょう。
再三お伝えしていますが今回の件は前代未聞です。
当然同じ過ちが起こらないように運営側もしっかり対策をすることでしょう。
特にスマートフォンへの扱いは厳しくなることでしょう。
今後もスマートフォンを使ったカンニングは激化することでしょう。
良くも悪くもスマートフォンの登場により世界の事情は一変しました。
より正確にいえばインターネットの誕生こそがその要因なのでしょう。
せっかくの技術もこうした不正に利用されるのは残念でなりません。
今後共通テストははじめとした試験についてはよりスマートフォンへの対策が求められることでしょう。
共通テストの規則ではスマートフォンを含む電子機器は電源を切り、鞄にしまうととなっています。
しかし対策としては不十分であることが今回の件で証明されました。
鞄にしまうのはあくまで受験生一人ひとりで行います。
スマートフォンを今回のように衣服で隠すことも用意でしょう。
受験生を信じるという気持ちは大事ですが、どうやらそうも言ってられません。
そこで今後考えらえる対策として筆者下記3案を予想します。
- スマートフォンの回収
- 会場へのスマートフォンの持ち込み禁止
- 会場への電波遮断機の設置
1.スマートフォンの回収…実現可能性◎、効果〇
これが最も現実的な案ではないでしょうか。
その日の最初の試験が始まる直前にスマートフォンを運営側が回収する、とうものです。
回収に時間がかかる、返却するする際に誰のスマートフォンであるか分からなくなるなど問題があります。
しかしこれらは工夫次第で解決できるレベルのものです。
受験番号が記載された袋にいれ、試験説明中に試験官が機器を回収するなど。
2.会場へのスマートフォンの持ち込み…実現可能性〇、効果〇
こちらもある程度現実的な案と考えています。
スマートフォンがなければそもそも不正はできません。
それならいっそ持たせなければよい、という考えです。
しかしそうなると会場までの使用したい人には影響がでますね。
特に試験会場の場所が分からない場合、スマートフォンの地図機能は使うことが想定されます。
対策としては会場とは別の施設にて試験終了までスマートフォンを一時的に預けるようにする、というところでしょうか。
コインロッカーなどがあるとよいのですが。
3.会場への電波遮断機の設置…実現可能性×、効果〇
最後の案は実現性がかなり低いものと考えています。
一方で実現できれば効果は3案中、最も高いものと感じています。
「通信抑止装置」というものをご存じでしょうか。
いってしまえばスマートフォン(携帯電話)の電波を妨害し、通信できなくする装置です。
これを試験会場に設置することができれば、今回のような流出騒動は確実に防止できます。
装置を導入するだけであれば実現性も高い、と思ったことでしょうが残念ながらこれには条件があります。
こちらの装置を設置するためには免許が必要なようです。
総務省のHPにてそのような記載がありました。
気になるかたはチェックしてみてください。
携帯電話等の通信抑止装置の使用について
そのため導入するにはかなりのハードルとなります。
おそらく一つの会場につき、免許保有者が1人いないといけないのでしょう。
また、設置できる場所についても制限があるようです。
この他、試験官など運営そのものに悪影響が出ることから使いどころが難しいといえます。
まとめ
- 仮面女子大生のによる犯行
- 多くの人を巻き込む大事件
- 偽計業務妨害罪が適用される可能性あり
- 来年以降のスマートフォンの扱いはより厳しくなる
カンニングといえどここ数年でいえば大規模な内容でしたね。
来年以降はこのようなことがないと良いのですが。
何はともあれこうした事件には気にせず、受験生の皆様には頑張ってもらいたいです。