子供の味方『うまい棒』にも不況の波が!      42年ぶりの値上げについて詳細の嵐!

子供の味方、「うまい棒」にも不況の波が押し寄せてきました。
2022年1月27日、販売元の「やおきん」よりうまい棒値上げの発表があったのです。

2022年4月1日出荷分より1本あたり12円となります。


この発表に多くの国民からが衝撃を受けました。
国民的にお菓子ともいえる「うまい棒」に一体何があったのでしょうか。
今回は値上げのやその安さの理由についてまとめました。

42年間、ずっと10円だった

誰もが知る国民的お菓子「うまい棒」。
1979年の発売から42年が経った現在、不況の波には勝てず、ついに値上げとなりました。
これまでの10円から12円の値上げ。
20%の値上げと聞けば通常大問題でしょう。
しかし世間からはむしろ今回の値上げについて好意的に捉えられる節があります。
なんとうまい棒は発売して以来、ずっとう値段据え置きであり今回が初めての値上げだったのです!
残念に思う一方、これまでずっと10円を貫いてきた販売元の「やおきん」の企業努力は称賛に値します!
また、うまい棒が無くなるぐらいであれば今回の値上げは寧ろ喜んで受け入れることでしょう。
なんならもっと値上げしても誰も文句は言いません。


確かに過去さまざまなお菓子が値上げしているなかうまい棒だけはいつまでも10円でした。
筆者が小さいころ、遠足のおやつにはもってこいだった一品でした。
安くてうまくてバリエーションも豊か。
ボリュームもあり満足感がすごかったのを今でも覚えています。
大人になった今でこそ購入する機会が減りましたが、それでもたまに買うと変わらずの美味しさで安心したものです。
SNS上では昨今の食品値上げに嘆きつつもうまい棒への感謝の気持ちで溢れています。

一方でついにうまい棒にも不況の波が押し寄せたことに危機感を持つ国民も増えました。
インフレの加速、物価上昇。
今回の件を通じて日本の現状に危機感を持つ
きっかけとなればせめてもの救いですね。


値上げの原因は…

今回の値上げに踏み切った理由はずばり、原料及び、商品流通コストの上昇です。
これだけ聞けば「仕方がない、どこであっても原因は同じか」と思うことでしょう。
元々これらは上昇する傾向にありましたがここにきてコロナによる後押しがきっかけだったのではないでしょうか。
子供時代は「1000円あればうまい棒が100本買える!」とよくたとえ話にしていた人も多いのではないでしょうか。
今後はそれができなくなると思うと寂しいものがありますね。
販売元の「やおきん」はもちろん、誰もが今回の値上げについて望まなかったことでしょう。
1本購入する際にもお金のやり取り、計算も面倒になりますね。

うまい棒の利益率は3割!

さて、気になるのはその安さの秘密です。
今回12円と値上げするのですが、それでも12円です。
これが利益が出ているのか、今後も販売を続けることが可能なのかが気になりますね。
うまい棒の原価は1本あたり7円と言われています。
種類によって異なり、高くても9円のようです。
そのためこれまで約3割の利益率となっています。
この3割というのはお菓子メーカーにおける平均的な利益率と同程度のようです。
そのため10円という安さであってもキッチリと利益は出ていることが分かります。
ただし今回のように原価率が高くなった場合などには空洞の大きさや重さを微調整することで乗り切ってきました。

現代闇、サイレント値上げとは


上記で説明したこの手の「値段は据え置きだけど実際にはサイズ削減のため実質値上げ」は多くのメーカーにて実施されています。
消費者には実質値上げしたことをつげないいわゆる”サイレント値上げ”は多くの批判をくらいます。
過去グリコから発売されたデザート系ドリンク「ドロリッチ」を覚えているかたはいるでしょうか。
ゼリーを飲んだような独特の触感で、発売当初より大人気の商品となりました。
しかしこれもサイレント値上げによって2019年には生産終了に追い込まれたのです。
発売した2008年当初、容量は220グラムでした。
しかしその後数年おきに価格そのままで容量現象が進み、最小グラムでは120グラムでした。
危機感を覚えたグリコはその後180グラムまで増量したものの、時すでに遅し。
多くのファンは既に離れていってしまったのでした。
「ドロリッチ」以外にも多くの事例が現在では飛び交っています。
容量だけでなく、数を減らす場合もありますね。
巧妙なのがお菓子の形状、梱包を代え、あたかも値上げしたことを匂わせないカモフラージュまがいなことも見受けられます。
実質値上げを悟らせないため、「食べきりサイズ」、「身体への負担軽減」といった消費者のメリットをうたうものまで存在します。
これを額面通りに信じることができればよいのですが、残念ながらそれを信じる人は少ないでしょう。
これが逆効果になり、消費者からは値上げ以前に”信用できない企業”というイメージがもたれてしまいます。
これはそのお菓子が売れないだけでなく、ブランド全体への影響も出ることから企業そのものの経営にも大打撃となりかねません。
このサイレント値上げにも近い行為を行っていたうまい棒ですが、消費者からなぜこれまで批判がでず、今回の値上げについても好意的に受け取られたのでしょうか。

全ては子供のために

今回の値上げも含めこれまで「やおきん」への批判が出なかったのはなぜでしょうか。
それはひとえにうまい棒を作る真摯な姿勢とその理念になったものと思われます。
過去のとあるインタビューにて「やおきん」顧問である石井俊夫さんはこんなことを語っていたそうです。

「コストを下げても品物が悪くては売れない。駄菓子を子供騙しという人がいるが、子供は騙せない。だから常に気を付けているのは品質を絶対に落とさない。
そのため他の部分でコスト削減を図っている。
一番大きいのは業者の好意的な協力。
段ボール屋さんやフィルム業者さんなど、みなさん子供の頃にうまい棒を食べていた“うまい棒世代”で、コストダウンの相談に乗ってくれる」

いかがでしょうか。
”子供は騙せない”
至言ですね。
お菓子メーカーのメインの消費者は子供です。
その子供は価格なんと気にしないでしょう。
美味しさこそが全てです。
また、コスト削減のため、自社だけでなく、関係する会社と共に同じ理念をもって商品を作る、というのはなかなかできるものではありません。
これは過去、うまい棒を食べて育ってきた子供が大人となり、今度は自分が子供たちに食べさせてあげたいという想いによってなせることです。
結果、10円を維持することに繋がり、それを42年続けてきたことで多く人に愛されるお菓子となったのでしょう。
10円という圧倒的安さの裏には消費者が知らない多くの人の協力と並々ならぬ努力があったのです。
消費者には語らずともそれが伝わった結果、今回の好意的な反応となったのではないでしょうか。

値上げを歓迎する数少ないお菓子、それがうまい棒!

たかが10円、されど10円。
この10円にはさまざまな想いがこもっていることが分かったのではないでしょうか。
今後12円として販売をするうまい棒。
これによって少しでも作り手側へ還元されることを願うばかりです。
12円どころかいっそ、20円にしても誰も反対することはなかったでしょう。
多くの企業が利益重視をするなか、それでも最小限に値上げに留めた「やおきん」。
これによって今後も我々のためにおいしい1本を提供してくれることでしょう。
しかしいぜとなれば今回のようにしっかりと値上げに踏み切り、声を上げてほしいところです。
消費者が何より恐れるのは、商品が無くなることです。
正々堂々、後ろめたいことなく値上げを宣言できる、それがうまい棒です。

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