歴史は繰り返す。
2022年の大学共通テストでスマホを利用した不正が発覚し、早2年。
受験シーズン真っただ中の現在。未だに聞きなれない『大学共通テスト(以下、共通テスト)』(旧大学入試センター試験)は2022年の試験をもって2回目を迎えました。そんななか、世間を騒がすニュースが飛び込んできました。「[…]
2024年の今年、早稲田大学の入試にてスマートグラスを用いたカンニングが発覚しました。
今回はさらに進化したカンニング方法の実態について解説します。
※これはカンニングを冗長するための記事ではありません!!
この記事を読んで、一人でも多くの人が不正を踏みとどまることを願います。
カンニングは絶対にバレます。
特にスマホといったインターネットを用いたものであればなおさらです。
なぜバレてしまうのか、これを理解することでいかにカンニングが割に合わないかを理解してください。
概要
2024年の早稲田大学の一般入試にて不正行為が発覚しました。
大学公式HPの発表によると、試験時間中に試験問題がネット上に流出し、外部の人間が回答、流出者へ回答を送付したとのこと。
大学側は文部科学省、警察に通報し世間にこの事態が広がりました。
なぜ発覚したのか
なぜ今回入試問題が流出し、それが発覚したのか。
全容はこうです。
今回カンニングを実行したのは私立高校の3年生です。
創造理工学部の試験中にスマートグラスを使用し、問題用紙を写真撮影。
これをあらかじめ用意していた外部の協力者へ転送。
協力者が問題を回答し、高校生へ回答。
外部協力者は試験前日以前にSNSで募集をかけ、謝礼として代金を支払った形跡もある。
外部協力者はどうやらカンニングの片棒を担がされたようであり、募集時には「分からない問題があるので教えてください」といった名目であった。
※とはいえ、試験シーズン中にお金を支払ってまで回答を求めるのはいささか怪しいを思いなくもないが…
やり取りにはX(twitter)が使われています。
スマートグラスに搭載されたカメラにて写真を撮影し、手元のスマホに画像を転送。
スマホからXへ連絡、といった流れです。
2年前の共通テストではスカイプにる問題流流出でした。
今回手段は違えど外部に流出、依頼は同じ流れをくむ、手法と言えます。
誰かが見えている、善意の第三者
さてよく考えられた今回の流出手法。
一見完璧にみえたものの、しっかりは発覚しました。
発覚のきっかけはXにて協力要請を受けたとある人文が不正に気付き、早稲田大学に連絡しました。
これを受けた早稲田大学は後日、商学部の入試で訪れた高校生がスマートグラスを付けていることに気づき、警察に通報する事態となりました。
今回協力者は騙された形でカンニングの手伝いをさせられました。
なかには怪しいと感じた人もいるかもしれませんが、それでも謝礼ほしさか、回答した人もいたようです。
そんななか、不正であることに気づき、正しく早稲田大学に通報した善意の第三者もいました。
この人がいなければもしかすると不正に気付けなかったかもしれません。
とはいえ今回のような不特定多数の外部協力者を用いる場合、こうしたリスクは避けられません。
高校生も当然それは分かっていたことでしょう。
そのため不審に思われないような言い回しで募集をかけていました。
しかし分かる人はやはりわかるようです。
特に過去に同大学を受験した人はもちろん、直近で受験経験がある人ではピンとくるのではないでしょうか。
問題の類似点や傾向などから試験問題ではないのか、と。
特に2022年にも流出した事件があったばかり。
そして今年も事件が発生したことで来年以降もより類似のケースの事件が発生することが警戒されます。
よって方法は変えたとしても同じように外部に頼るような方法では必ず誰かの口から事件が漏れてしまう(発覚してします)ことは確実です。
不特定多数へ手軽に依頼ができる一方それだけ多くの人に依頼をすれば発覚するリスクは格段に上がります。
スマートグラスとは
さて今回着目すべきはスマートグラスというアイテム。
不正の手段として利用されるとはなかなか思いつくものではありません。
スマートグラスは眼鏡の形をしたマルチメディア機器といったところです。
スマホと連動させることが前提ですが、レンズで映像や音楽を楽しむこと。
今回利用された写真撮影も可能です。
ランニング時に速度や歩数を計測できるなど、手元でスマホ操作ができない時に重宝される機能もあります。
見た目については近未来的なメカニカルなものから、一見普通の眼鏡に見えないような地味なものなどさまざまです。
今回事件で使用されたスマートグラスも黒ぶちの一見して普通の眼鏡と区別がつけづらい見た目となっていました。
カメラがついているとはいえ、まさかスマートグラスをかけてくる受験生はいないだろう、という盲点をついた犯行です。
警察沙汰になった理由
今回警察へ通報された理由として早稲田大学は以下の2点を発表しています。
・該不正行為が悪意をもって入念に計画されたものであり、学内調査では全容を解明することが困難であると判断したこと
・他大学においても同様の不正が行われることを懸念したため
大学内だけでは解決するのが難しく、他の大学でも同様の事件が発生する可能性があり、社会的影響が大きいため、といったところでしょうか。
試験問題をSNSに流出したことが特に影響度が大きいものと思われます。
スマートグラスといったデジタルデバイスがより今後もより高性能で見た目も分かりづらい作りとなることを予想されます。
そのため一校の大学だけでは対処することもより困難となるでしょう。
これを解決するためには他大学とも情報共有するほか、受験時の規定の見直しなど足並みをそろえつつ対策しなければなりません。
対処が難しい場合、最悪デジタル機器を受験会場に持ち込み禁止となること。
インターネット通信を利用できないような環境を用意することなど大規模な対策が必要となります。
手間暇がかかるため、これは大学側だけではく受験生にも大きな影響が出るでしょう。
身近なところでは受験料の引き上げなども考えられます。
誰か一人がしでかしたことで多くの受験生が被害をこうむります。
こうした意味でもやはり通報されてしかるべき事案だった、ということでしょう。
受験者の末路
言うまでありませんが、高校生は全ての入試の結果が無効となりました。
大学側の発表にはこれ以上の言及はありません。
しかしこの高校生が来年、改めて早稲田大学を受験する際にはもしかすると受験資格のはく奪や、要監視対象となったうえでの受験などもありえるのではないでしょうか。
さすがこれは極端な話ですが。
現実的なところではすでに受験を終えている大学、これから受ける大学への通報はありえる可能性があります。
同じように不正を行った、これから行う可能性があるだけに避けられないのではないでしょうか。
そしてもし合格していたとしても入学は無効となることでしょう。
やはりカンニングの代償は大きい。
カンニングは割に合わない
カンニングが発覚すればその年の受験は無効。
来年以降についても受験できるかもわかりません。
これほどのリスクを負ったうえでまでカンニングを行うメリットはあるのでしょうか。
志望校の落ちることは恐怖でしょう。
それまで勉強してきた努力が無になるのですから。
再受験となればもう1年勉強漬け、さらに予備校代など金銭的問題もあります。
確かに一回で合格したい気持ちもわります。
しかし仮にカンニングがばれずに合格した場合、その後笑ってキャンパスライフを送ることは可能なのでしょうか。
特に試験の意味の一つに「入学しても講義のレベルについてこられるかどうか」という基準も含まれています。
受験がなんとかなったとしても大学の勉強についてこれなければ大学生活は悲惨なものになることでしょう
自身の学力にあった大学を選ぶ、というのは重要なことです。
その意味でも受験は真正面から突破すべきものではないでしょうか。