春先ごろより悪い意味で話題となっている吉野家。
3月には名前入り丼ぶりのプレゼント企画にて客への高圧的な態度が問題となり炎上。
4月には同社常務取締役が講師を務める口座にて問題発言を行い、これまた炎上。
5月には同社への採用説明会について、見当違いの理由により大学生への参加を断り、やはり炎上。
このように3月より1ヶ月ごとに炎上が続いている吉野家。
しかしこれだけでは済まない可能性が出てきました。
以前よりひそかに設置していた爆弾がこの最悪のタイミングで爆発する可能性が出てきたのです。
今回はさらなる爆弾、株主優待制度改悪について解説します。
炎上するも業績に影響なし?
立て続けに炎上騒ぎとなっている吉野家。
連日ニュースに取り上げれ、世間の目が厳しい状態です。
これは業績への影響もあるのではと危惧するほど。
一方で炎上騒ぎが決算前後で幸いしたのか、2022年度の実績は良好のようです。
2022年度の決算発表をみたところ、最終収益は昨年のマイナスより脱出し、プラスに転じています。
テイクアウト、デリバリー需要獲得が大きな要因です。
さらに緊急事態宣言解除に伴い飲食業界全体が追い風となっているなど、好転した理由はさまざまのよう。
このように2022年度をプラスでしめることができた直後、上記のような炎上騒ぎを連発することになるのでした。
これらの影響が果たしてどのような影響を与えるのか、注視すべきでしょう。
牛丼に罪はない
これらの炎上について共通するのは全て本業、即ち牛丼に直接関するものではない、という点です。
より具体的に言えば、職員、担当者によるミスと言えるでしょう。
どれもお客さんや世間に対しての言動が問題となるものばかりです。
逆に牛丼に関するもの、例えば賞味期限切れの食材の使用や食材産地の偽造といった問題は一切発生していません。
飲食業であれば当然かもしれませんが、それでもこれは重要な点です。
食の安全、美味しさが守られているというのはそれだけで世間からの評価、信頼が高いといえるでしょう。
これらの騒動は許されざることですが、それでも牛丼には罪はありません。
しっかりと被害のあった方々に誠意ある対応を行ったうえで引き続き美味しい牛丼を作り続けて欲しいところです。
株主優待券3,000円→2,000円へ
前置きが長くなりましたが、今回の主題である株主優待について解説します。
2022年度より株主優待制度である優待券が減額されることになりました。
2022年5月現在、順次株主へ優待券が送られています。
具体的な変更は以下の通りです。
株保有数 | 2021年8月以前の優待額 | 2022年2月以降の優待額 |
100株以上 | 3,000円 | 2,000円 |
200株以上 | 3,000円 | 5,000円 |
1,000株以上 | 6,000円 | 6,000円 |
2,000株以上 | 12,000円 | 12,000円 |
大きな変更点として、100株持ちの場合1,000円分が減額となる点です。
一方でこれまで200株持ちの場合は3,000円だったところを5,000円に増額となります。
つまり200株を持っている人であればむしろ優待額だけで見ればプラスと言えるでしょう。
とはいえ100株持ちが圧倒的に多いのではないでしょうか。
今回の減額については昨年度より事前に告知はありました。
とはいえ”いきなり減額されている!”と驚く人もいることでしょう。
なにより最悪なのがこのタイミングでの改悪です。
事前告知のことを知らない第三者が話だけを聞けば、これをきっかけにあらたな炎上騒ぎとなる可能性があります。
こればかりは吉野家は運がなかった、としかいえません。
ちなみに今回の制度変更に理由は下記の通りです。
株主還元の公平性や、新型コロナウィルス感染症の影響による不透明な経営環境および持続的な成長を含めた、総合的な観点から判断
”株主の皆様”へより一部抜粋
要約すると「コロナで経営悪化するため、許してね」といったところでしょうか。
この判断が正しいことを祈るばかりですね。
改悪点は減額だけではない
さて優待額にばかり目がいきがちですが、もう1点改悪ともよべるものがあります。
それは優待券1枚あたりの単位が変更となったことです。
これまでは1枚300円だったところを500円となりました。
つまり100株の場合は300円×10枚だったのが500円×4枚となったのです。
優待券を持ち歩くという点であれば枚数が減りかさばる心配は少なくなります。
しかし額が大きくなることで使用方法について面倒となります。
優待券を利用した場合、お釣りをもらうことはできません。
そのためいかに無駄なく、優待額ちょうどに支払いとなるよう調整しなければなりません。
一見500円単位となり、計算しやすくなったように見えますが、使用方法が制限されるというデメリットが存在します。
それは500円以下の商品を頼むことができなくなる点です。
例えば牛丼1杯は426円のため、300円の優待券と126円の負担で食べることができました。
しかし500円となった場合、74円余ってしまいます。
結果、サイドメニューなどで調整したことで全体額としては以前よりも多く支払うことになります(実費負担が必ずしも大きくなるわけではありません)。
また、逆に500円を超える商品、特に600円の商品についても同様のことが言えます。
吉野家は600円の商品が数多く存在します。
そのためこれまでであれば優待券2枚(300円×2枚)プラス端数で支払いができました。
ところが500円単位となると100円以上を実費で支払う可能性が高くなったのです。
このように00円券が失われたことで発生する損失は地味に無視できません。
今後の優待券を利用する場合にはあらかじめ損の内容しっかりと計算した上で店舗に向かうのがよいでしょう。
ちなみに牛丼1杯を注文する場合には玉子(74円)を追加注文することでぴったり500円となります。
ご参考までに。
まとめ
いかがだったでしょうか。
新年度より幸先悪いスタートとなった吉野家。
今回の優待制度変更についてさらなる炎上の兆しがみています。
果たして株主の反応はどうなるのか。
6月を無事平穏に過ごせることを祈るばかりです。
- 3ヶ月連続の炎上騒ぎ
- 2022年度の業績はプラスに転じた
- 株主優待改悪によりさらなる炎上に兆しあり